「Tポイントの利用料に不満」
 ユニー・ファミマHDの子会社化へと伊藤忠を突き動かした、隠れた狙いがある。ポイントを中心にしたデータベースマーケティングの戦略を見直すことだ。
 ユニー・ファミマHDはファミリーマート時代の07年から、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が手掛ける「Tポイント」を採用してきた。ファミマとCCCはTポイントを通じて集めた顧客の属性や利用履歴を分析し、二人三脚で商品開発や
マーケティングに生かしてきた。ファミマを中核に提携先も182社に広がり、会員数は6500万人を超える。
 Tポイントのライバルの共通ポイント「楽天スーパーポイント」を採用していたサークルKサンクスとファミマが16年に経営統合した際も、結局はTポイントに一本化した。楽天は楽天スーパーポイントとTポイントの併用を提案していたが、
CCCがTポイントへの統合で押し切った経緯がある。
 蜜月の関係に見えていたが、実は伊藤忠は「成長への足かせになりかねない」と危機感を抱いていた。ファミマがTポイントの会員属性や利用履歴といった顧客データを使うには、CCCに原則として利用料を払う必要がある。
ファミマもマーケティングに利用できるとはいえ、主導権はあくまでCCCにある。
CCCに顧客データを抑えられたままでは、グループの小売り事業を強化するため商品開発やマーケティングに生かそうにもコストと時間がかかりすぎると判断したようだ。
伊藤忠の関係者は「CCCにとってファミマを通じて得られる利用履歴は競争力の源泉だったはず。にもかかわらず、データの利用料がかさむことが我々としては不満だった」と明かす。
 既に伊藤忠はデータベースマーケティング戦略の再構築に向けて動き出している。17年9月には独自ポイントや電子マネーなどの開発を視野に、ユニー・ファミマHDと共同出資会社を設立。セブン&アイなどをFinTech(フィンテック)事業で
追い上げる狙いだ。