買った車が、実は“事故車”だった…そんなトラブルが岐阜市の中古車販売会社で起きていて、全国で被害を訴える人が相次いでいます。

 名古屋市に住む男性は、今年2月に中古の黒のワンボックスカーの購入を決め、契約。およそ270万円を支払いました。

中古車を買った男性:
「『大変コンディション良好』『不都合箇所などはございません。ご安心ください』と書いてありました」

 納車を心待ちにしていましたが…。

中古車を買った男性:
「4月中旬に納車できるよって話があって、喜んで販売店に向かったら、最中に電話があって『エラーランプがついたから、今日は納車できないって』という簡単な電話で」

 2カ月たっても納車されないことや、不具合の報告を不信に思い、陸運局で車の所有履歴を調べました。すると、驚きの事実が…。

中古車を買った男性:
「初年度の登録の方と連絡が取ることができて、昨年の九州豪雨で水没した車だったんだと…」

 なんと、契約したワンボックスカーは、去年7月の九州豪雨で水没した車だったのです。

 男性は弁護士を通じて「購入をやめる」と通告し、270万円の返金を求めましたが、中古車販売会社は全く応じていません。

 同じようなトラブルは他にも…。

静岡県の男性:
「事故して廃車にした車だと(整備会社が)教えてくれました」

 この男性も、同じ業者から中古車を購入し検査に出したところ、整備会社から「過去に交通事故を起こした車だ」と知らされたということです。

 同様の被害を訴える人は全国で30人以上。「事故車」と告げずに中古車を販売することは罪にならないのでしょうか。菊地幸夫弁護士に伺います。

Q.まず、納車されずお金も返してもらえない場合はどのようにしたらよいのでしょうか?

菊地弁護士:
「そもそもお金を払ったのに車が来ない、それについてまともな理由がないということ自体で契約違反です。契約違反があると基本的には契約を解除、つまり白紙に戻して代金を返してもらえるという救済が与えられます」

Q.水没や事故を起こしたことなど、必要な情報を伏せて販売したことについてはいかがでしょうか?

菊地弁護士:
「まず水没は程度にもよりますが、ある程度ひどいということであれば、これは言わなければいけません。車の性能に非常に影響を与える、買う側としては重要な事実ですから。

 また、事故を起こしたということ、これも死亡事故という深刻な事故を起こしたということになると、例えば車のシャーシが曲がっているとか、衝突安全性能が落ちているとか、これも顧客にとっては重要です。

 数字として車の性能が低下しているということを隠して、普通の中古車として売るということはしてはいけません。それらを告知する義務が売り主にはあります。

 ですから、そこを黙って売るというのが詐欺罪になる可能性があります。あるいは景品表示法上は、そういう重要な点について顧客に誤認させるという捉え方にもなります。これには措置命令やそれにつづく罰則などがあります。あと消費者契約法で、重要な事実について不実な告知をするということは、契約の取り消し事由というものにもなりますので、二重にも三重にも法律に違反するということになり得ます」

Q.中古車を買う側はどのような注意をしたらよいですか?

菊地弁護士:
「私が中古車売り場に行って、車を見てもその車の状況は分かりません。例えば車に詳しい人についてきてもらって、一緒に見てもらうというのも一つの方法だと思います」

※陸運局で車の所有履歴を調べることは可能。また整備会社の検査を受けていれば、車両品質評価書という書類が作られるため、事故車両かどうかの確認も可能。
(関西テレビ8月19日放送『報道ランナー』内「そこが聞きたい!菊地の法律ジャッジより