しかし、酒、たばこの所持が発覚し、入寮2日目から外出禁止を言い渡されたボクは、喫茶店にも行くことができません。夜中に、どうしてもおなかが減って我慢できなくなり、ある先輩選手と一緒に食堂をのぞくと、不人気のため余った玄米が、どんぶりに山盛りになっています。腹が減っては…。先輩選手と、夜中に玄米をおにぎりにして、パクついたのです。

 「泥棒が入って、食料が盗まれた!!」。翌朝、起きてみると、寮の中が大騒ぎになっていました。先輩選手と「これはマズいでしょう」と話し合って“自首”。『もう2度と寮のご飯を盗みません』という始末書を書いたのは、球界でもボクだけでしょう。

 キャンプ中の昼食は、野菜スティックとスープだけ。おなかが減って仕方がないからスープをガブ飲みです。スープで腹いっぱいにするため、1度に2リットルくらい飲んだのではないでしょうか。

 宿舎では唯一の楽しみだった夕食の食卓にも、玄米はじめヘルシーなメニューが並び、飲酒も禁止。ベテランの東尾修投手でさえ、遠慮して急須にビールを入れて飲んでいたくらいです。お酒が入らないから、選手間の会話も弾みません。食べ始めて10分もすれば、みんな食堂から消えていくといった具合です。