一方の梅野。現在の相手は才木浩人のみ。開幕当初は門別啓人とジェレミー・ビーズリーの投球を受けたが、2人とも先発で結果を残せなかった。
気づいた時には「才木専用」。唯一の相棒は7勝4敗で、直近は2戦2勝だが、いずれも5回降板。屋外球場での登板が続き、本人の疲労もあるだろうが、才木専属から外される可能性がないとは言えない。
伊原に代わって昇格した高橋遥人が15日からの中日3連戦(甲子園)で先発する方向で調整を進めている。坂本か梅野か。気になる人選だ。

高橋の1軍マウンドは24年10月13日、甲子園で行われたDeNAとのCSファーストステージ第2戦以来。二回に4点を失った当人より、先に交代を命じられたのが梅野だった。
2連敗で、この試合がラスト采配となった岡田彰布監督(現オーナー付顧問)の強烈なコメントは忘れられない。

「普通やったら使わへんけど。最後やからのう」

矢野、岡田の両時代を経て、誕生した藤川球児監督。85試合を消化して、スタメン坂本は61試合(39勝22敗)。梅野23試合(12勝9敗2分)、栄枝1試合(1敗)だ。
4年前から始まった正捕手問題も結論が見えてきた。だから巨人・阿部慎之助監督は「マイナビオールスターゲーム2025」(23日・京セラ、24日・横浜)の監督選出選手に坂本を指名した。10年目での吉報だった。

「めちゃくちゃ嬉しいですね。正直、僕なんかがって思いもありましたけど…。本当に小さい頃は必ず見てましたし、実際プロになって僕は縁のないものと正直思ってたので、すごい幸せなことだと思います」

良き伴侶に恵まれることが安定した家庭の条件だとすれば、まさに地で行く坂本。チームは2年ぶりのリーグ優勝にひた走る。胴上げの瞬間、マウンドに向かう遅咲き男の姿がはっきりと見える。