それは4月中旬の甲子園だった。試合後の深夜、大山がいつものように球場出口から側道に曲がると、1人の男性が倒れていた。慌てて車を飛び降り、介抱に向かった。体調を崩したのか、酔っぱらったのか。「大丈夫ですか?」。必死で声をかけていると、駆けつけた数人から逆に心配された。

「ここは僕たちでなんとかします。大山さんは帰って休んでください。明日からも頑張ってください!」

どれだけファンの優しさに支えられているのか、大山はその時、あらためて身に染みたのだという。

「あの時にかけてもらった気遣いが本当にうれしくて…。その日以来、その方々は僕が甲子園から帰る時、必ず同じ場所で待ってくれている。だからいつも軽く会釈していたんです」

ワイ「じゃあ何でFAしたんや」