>>366
競技面、運営面において明らかに「プロ未満」のHFLを加入を認めたIPBLの姿勢からは「理念なき拡大」という言葉が思い起こされる。

 そもそも「独立リーグ」とは、既存のプロリーグとは別個に「独立して」運営されるリーグのことを刺す言葉である。つまり、「プロ」であることが大前提だ。

 独立リーグの本場・アメリカではこの前提はかなり厳格に守られ、「独立リーグ」を名乗るリーグは、プロリーグにふさわしい運営を行い、選手たちはシーズン中は競技に専念する代わりに球団からの報酬を手にする。

 例え少額のギャラが出ても、本業を別にもつ者が片手間にプレーをするようなリーグはセミプロと呼ばれ、プロの独立リーグとは明確に線引きされる。リーグの基本方針として、球団から選手への報酬支払いを義務化せず、地元企業への職のあっせんを行い、就業時間外にプレーを行うHFLは、本場の感覚ではセミプロというべきものである。

 本来的にはアマチュアの地域リーグとでもいうべきこのリーグにまで門戸を開き、「日本一決定戦」に参加させるのには無理があったと言わざるを得ないことは、今回の結果から明らかだろう。

>しかし、「プロリーグ」にこだわり、選手にそれなりの額の給与を保証することで競技に専念させ、地方での地域密着経営を目指したこのリーグの現実もまた厳しいものだった。

 リーグ戦終了後、発表されたのはNPBにふたりを送り込んだ福井球団の活動停止と、来シーズンからの千葉球団の参加であった。

 昨年BCリーグから脱退して新リーグを立ち上げる際、CEOの黒田翔一はBCリーグを2つの点から批判した。プロを名乗りながら選手に報酬を払わない球団がある点、それに独立リーグとして本来あるべきNPB球団のない地方に野球文化を根付かせる姿勢が失せてきている点である。

 前者は、BCリーグ当局が人材を送り込んで存続させようとした福井ワイルドラプターズを指している。地元スポンサーが離れてしまった福井球団を立て直すため新運営会社を設立したものの、スポンサーは戻ることはなく、資金不足を乗り超える苦肉の策として、リーグ当局は「無給契約」を認めた。加盟全球団に適用されたこのルールだが、福井球団存続のためのものであることは明らかだった。