【真弓明信】24度目完封負け阪神 工夫のない打者対応と用兵面の変なこだわりの積み重ね
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打線は今季24度目の完封負けを喫したが、巨人の先発赤星に対して、どう攻略するのか、というのが見えなかった。

 チーム全体で低めを捨てて高めを狙え、などということではない。それは打者によって個人差があるから、一様には指示できない。言いたいのは、各バッターが、2ストライクまで配球を読みながら、狙い球を絞っていくということだ。赤星は特別に球が速い投手ではない。手が出ない変化球があるわけでもない。それだけに、甘い球が来れば打つという漠然とした意識があったのではないか。

 打者にとって、相手バッテリーに考えさせるのは重要な作業だ。例えば、体を開き気味に待ち、インコースを狙っていると思わせる。アウトコースでストライクを取れると思わせて、そのコースに狙いを絞る。攻略の難しい投手なら、そういうことも考えるかもしれないが、特別なボールがない投手には対しては、ハマりがちだ。簡単に言えば、打者に工夫がなかった。

 用兵面で、理解できなかったのが、最終回の攻撃だ。2死から大山が出塁して、江越が代走で起用された。盗塁で二塁に進んだが、代走も盗塁も必要だろうか。この状況で、同点にするには、打者ロハスの本塁打しかない。追いついた場合、延長戦で再び大山に打席が回ってくる可能性がある。
代走が必要なのは、ロハスも出塁した時だ。
同点のランナーになるため、ここでカードを切るべきだ。さらにいえば、2死一塁での盗塁はあまり意味がない。アウトになれば、試合が終わってしまう。勝ちにこだわることを考えれば、全く動く必要がなかった。全員で野球をやるというのは、そういう意味ではないと思う。

 今季24度目の完封負けというのは、そういう打者の対応や用兵面の変なこだわりの積み重ねといえる。