これって、佐藤にも言えるかも知れん

09年はまだ26歳シーズン。それでも焦らざるを得ないほど、周囲からの期待値が高かった。虎の生え抜き大砲候補−。そんな枕ことばが桜井氏を徐々に追い詰めたのかもしれない。
高卒6年目の07年、1軍初出場からブレークした。この1年を境に、自身を取り巻く環境が一変した。
「僕は他球団でやっていないので、それが特別かは分からないけれど。阪神は目立つので。それは阪神の選手の宿命ですからね」
その一挙手一投足に注目が集まるようになった。監督、コーチにとどまらず、野球評論家、球団OBたちから次々に助言が届いた。
「期待して言ってくれているのだからと、あっちも聞いてこっちも聞いて。僕がもっと賢かったら良かったんですけどね」
窮屈を感じ始めた。持ち味の豪快さに歯止めがかかった。最後は不完全燃焼のまま縦じまを脱いだ。
「自分を100%出しきれたかと振り返ると、正直疑問が残ります。でも、そこを乗り越えられなかったのは結局、自分に力がなかったから。常に注目される阪神でも、結果を出す人は出していますからね」
桜井氏は静かに言った。