https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190112-00259650-toyo-soci
プロ野球「FA制度」から失われた本来の意味

>MLBはFA制度の導入によって激変した。各チームの主力級は、年限が来れば他球団と移籍交渉するのが当たり前になった。
金満球団はFA権を得た他チームの有力選手を物色し、大型契約を結ぶようになった。介在する代理人の存在がそれに拍車をかけた。これによりMLBの平均年俸は急激に上昇した。

 球団経営者は、高騰する年俸に歯止めをかけるために、サラリーキャップ制度などさまざまな制約を設けようとしたが、MLB選手会はこれに激しく反発。1981年、1994年、1995年とMLB選手会はストライキを実施した。

 MLBの労使抗争は「ミリオネア(百万長者)とビリオネア(億万長者)の争い」と言われ、アメリカ社会のひんしゅくを買った。ストの影響でMLB人気は下落した。しかしながら、年俸の高騰には歯止めがかからなかった。

 MLB球団の経営者、そしてMLB機構は、選手側の要求を抑え込もうとする一方で、こうした状況に対応するため、ビジネスモデルの変革に着手した。
これまでの観客動員を中心とした昔ながらの事業展開から、放映権ビジネス、ライセンスビジネス、フランチャイズビジネスなどを多角化し、より多くのファンに向けてビジネスを展開した。国際市場にも進出した。

 またマーケットを拡げるために、エクスパンション(球団増設)も行った。

 球団経営者から機構のトップに立ったMLBのバド・セリグコミッショナー(実質在任1992年〜2015年)が辣腕をふるい、MLBのビジネスモデルを根底から変えたのだ。

 この結果、MLBの観客動員は1978年の26球団・約4064万人から2017年には30球団・約7268万人へと急拡大した。また各球団の企業規模も飛躍的に拡大した。

 アメリカでは、NBAやNFLなどMLBと競合する巨大なプロスポーツが覇権を争っている。MLBがFA権騒動に端を発するビジネスモデルの改革に着手していなければ、今頃は他のスポーツの後塵を拝し、マイナースポーツに転落していたかもしれない。