応援風景? 礼儀正しさ? 高校野球に残したいことは
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100年かけ浸透 日本文化に ノンフィクション作家・佐山和夫さん
 
高校野球は最初から、@フェアプレーA基本に忠実Bチームワークの三つを大切にしてきました。
その精神は100年かけて、全国津々浦々の学校に浸透しています。

 それは学生のために唱えた精神ですが、ベースボール本来の間違いを是正することにもなりました。
野球は自由と平等を体現した素晴らしいゲームですが、一方で勝つために手段を選ばないような危うさを
秘めています。実際、野球の母国である米国は、いかさまや八百長、薬物問題など、
様々な問題で苦しんできました。日本で盛んになり始めた頃、東京朝日新聞の野球害毒論キャンペーン(1911年)で、
新渡戸稲造が「野球は巾着切り(スリ)の遊戯」と批判したのも分かります。

 だから、高校野球は1915年の第1回全国中等学校優勝野球大会から、試合の前後に整列して礼をする
方式をとりました。野球はこうやってやるという模範を示したのです。今では社内野球でも皆さんがやっています。

 基本を大切にし、バントなどのチームワークも大切にしました。皆さんに支持された「ひたむきさ」「正々堂々」
「礼儀正しさ」「チームワーク」といった要素は、まさに高校野球によってできあがったと言っていいでしょう。
日本人の知恵、加工・品種改良の国ならではの応用能力を見事に発揮し、野球の価値を高めたのです。

 そこに郷土愛とお盆という要素も加わりました。高校野球は実によくできた日本の文化です。
ぼくは「世界遺産」にしたいと願っています。