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 初回は無失点に抑えたが、二回だ。先頭の川端に中前打、西浦に左前打を浴びて一、
二塁。続く坂口には高めに浮いた初球を狙われ、右前適時打で1点を失った。中村に
は四球を与え、なおも無死満塁のピンチ。それでも、ここから粘った。マウンド後方
で弓を引くようにして、体に染み込ませた動きを反復。冷静さを取り戻した。

 「どうしてもストライクが欲しくなると、突っ込みがちになってしまう。それを防
ぐための意識付けです。序盤ですし、何とか粘りたかった。打たれたら仕方ないと思
って、思い切って投げました」

 続くブキャナンを投ゴロ併殺に仕留めると、山田は外に落ちるスライダーで空振り
三振に。直球狙いのヤクルト打線に対して三回以降は、変化球主体に切り替えて凡打
の山を築いた。

 「ガラリと変わりました」。球を受けた梅野が変化を証明する。金本監督は一定の
評価を与えた上で「次の方が大事。果たして今日の姿が本当なのかどうか」と継続し
た結果と内容を求める。

 六回、1死一、三塁で川端を遊ゴロ併殺に打ち取ると、激しくガッツポーズ。勝利
を求め、感情をムキ出しにした。前日12日が誕生日。24歳初登板で変化を見せた。
「続けないと意味がない。もう少し先頭を切るとか、チームに流れを持ってくるよう
にしたい」と藤浪。求めるのは勝利に導く投球。96球の手応えを信じて、次なる戦
いに向かう。