【星野の記憶】矢野燿大氏“無言トレード”で遺恨「見返したい」が「認められたい」に
星野の記憶6〜語り継がれる熱き魂〜阪神・矢野燿大2軍監督
www.sponichi.co.jp/baseball/news/2018/01/13/kiji/20180112s00001173358000c.html

 自分の野球人生を大きく変えてくれたのが、97年オフの中日から阪神へのトレー
ドだった。ただ、トレードが決まっても、当時は中日監督だった星野さんから掛けら
れた言葉は一切なし。そうしてもらえたからこそ「絶対に星野さんを見返す。中日戦
だけには絶対、負けへん」と強く思うことができたと思う。だから、中日戦はたくさ
ん死球をぶつけたし、逆にぶつけられた。でも、絶対に痛いそぶりは見せなかった。
やっぱり、悔しいから。

 ようやく阪神でレギュラーをつかんだ時に、星野さんが阪神の監督に就任すること
が決まった。正直、嫌で嫌でしょうがなかった。その気まずさは、別れた彼女にばっ
たり会う、なんてものじゃない(笑い)。「ああ、俺はまたトレードに出されてしま
うのかな」と毎日が憂うつだった。

 でも、いざ、再会を果たしてみると、星野さんは一切、気まずいそぶりを見せるこ
とはなかった。それどころか「テル、アイツはどうなんや?」と選手のことを度々聞
かれて。日がたつごとに自分の中から嫌な感情はなくなっていったし、いつしか「星
野さんに認められたい。認められるために頑張る」という思いに変わっていった。今、
振り返ってみると、星野さんには「一方的なトレードはしない。お互いにとってプラ
スになるから、トレードするんだ」という信念があったと思う。