でんもく追加

第8回京都アニメーション大賞奨励賞受賞作――。

明治時代。二十世紀を迎えた日本・京都。
西洋文化が馴染み始め、街に電気の明かりが灯りはじめたその時代。

京都・伏見の百川酒造の次女として育った百川稲子は、何をやっても父に叱責される毎日。
そんな稲子が神仏に祈っていると、神仏を否定し、これからは電気が日本を救うと豪語する少年、坂本喜八と出会った。
反発しあう二人だったが、父が決めた稲子の婚約の話で一変。
喜八は稲子の逃げたいという本心を引き出し、外の世界へと連れ出した。
結婚を止める唯一の方法は、奇書『電氣目録』を探し出すこと。
それは喜八が子供の頃に書いた電気に関する予言書で、かつて兄・清六が持ち出して行方知れずとなっていた。
稲子と喜八は、消えた『電氣目録』を探して逃げ回るのだった。

これは戦争でも、政治でもない。あの時代。歴史には残らない、どこかにあった恋のひとつ。