無名の新人女性声優が水着グラビアで注目される意図
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 筆者はアニメ好きなオタクだが、はたして、女性声優が脱ぐ必要はあるのだろうか――と疑問に思っている。
声優誌「声優パラダイスR」(秋田書店)が7月14日発売の最新号で、新人女性声優の水着グラビアを掲載する。
同誌の公式Twitterがこのことを告知したところ、「声優を脱がせるな」「水着はやりすぎ」といった批判の声が相次ぐこととなった。

 水着グラビアが掲載されるのは大西亜玖璃さん、咲々木瞳さん、相良茉優さん、百田絵理花さん、尼子絢那さん、内田秀さんの6人。
ほぼ無名の新人声優だ。この6人は「月刊少年チャンピオン」で連載中の『ヨメクラ』(共に秋田書店)のドラマCDのキャストで、9月にドラマCD付きで発売されるコミックスの告知のため、「声優パラダイスR」に登場したのだろう。
同誌の公式Twitterには告知と共に写真も掲載されている。写真を見ると、白の水着を着た6名がプールのへりに座って、笑顔を浮かべている。

 ネット上では、この写真について声優ファンから「声優に水着を着せる意味がわからない」「事務所も声優さんを大事に扱ってほしい」という声が上がっている。
近年は声の仕事だけではなく、歌手活動をしたり、写真集を発売したりと、アイドル的な活動をする声優も多いが、本来声優は“裏方の仕事”と考える声優・声優ファンも多い。
しかしアニメ文化の盛り上がりと共にアイドル的な活動をする声優の需要が増加しているのも、そしてそれによってファンが増えているのも事実である。
実際、人気声優の戸松遥さんや内田真礼さんの水着グラビアがマンガ誌に掲載された時は、歓喜の声が多数上がっていた。

女性声優の水着問題に突っ込むアニメ

 新人女性声優の奮闘を声優業界リアルと共に描いたアニメ『ガーリッシュナンバー』(2016年放送)は、声優の水着グラビア問題に突っ込んでいた。
主人公の千歳が出演するアニメのプロデューサーが、パッケージの販促のため女性声優たちの水着撮影を思いつく。
アニメの作風と水着のPVは無関係なのだが、楽天的な千歳は「仕事だから」と引き受ける。
だが、中には断固拒否する女性声優もいて、彼女をマネージャーたちは「みんなOKだから断りにくくて」「もし問題があるなら映像チェックで外す」と説得してなんとか撮影に臨んだのだった。

 一方で、「声優パラダイスR」の水着グラビアだが、告知を見ると「作品そのままの世界を再現!」という文言がある。
確かに『ヨメクラ』にも水着シーンがあるので『ガーリッシュナンバー』ほど無理やり感はない。
実際、声優たちにアニメのコスプレをさせて、その写真を掲載するのも声優誌では“あるある”の光景だ。
しかし、今回のグラビアは無名の彼女たちに“とりあえず”水着を着せて、“とりあえず”注目を集めようという意図も感じる。

『ガーリッシュナンバー』で水着を拒否した声優は、売れっ子だから自分の意見をぶつけることができたが、無名の彼女たちにその選択肢はなかったかもしれない。
千歳のように「仕事だから」と開き直ることも出来るかもしれない。
しかし、まだまだ名を知られていない彼女たちが声や演技ではなく、このような形で知名度を上げることとなってしまったのは、気の毒であるような気もする。