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■日本の規制値は熱効果だけ考慮

 電磁波による効果(作用)には、「熱効果」と「非熱効果」の二つがある。熱効果は、電磁波によって発熱する効果だ。非熱効果は、発熱以外に体へ及ぼすいろいろな
効果のことだ。
 日本の規制値である2W/kgの電磁波を携帯電話から吸収すると、脳の温度が0.2〜0.3℃上がる。日本の全身規制値は「体の温度が2℃以上の上昇があれば体に異常が出
る。1〜2℃の上昇による体への影響は不明。1℃以下の上昇なら影響がない」という大前提で決められた。上昇が2℃程度になる値の、さらに50分の1なら安全だろうと
して決められた規制値だ。つまり、電磁波による人体への影響は熱効果だけであり、非熱効果や、長期にわたる影響はない、という大前提で、この規制値が決められた。
この大前提がおかしい、というのが、電磁波問題の本質だ。熱効果としては大したことがない微弱な電磁波であっても、その非熱効果によって、がんが増えたり、頭痛
が起きるという問題が浮上しているのが現状だ。
 規制値というものは一般に、研究が進むとともに、どんどん厳しくなる。たとえば、レントゲンがエックス線を発見したのは1895年で、1990年過ぎに作られた最初の
基準値は年間3万ミリシーベルト程度だった。その後、エックス線やガンマ線などの電離電磁波(放射線)の危険性が分かってくるに伴って基準値がどんどん下がり、1990
年には年間1ミリシーベルトになり、原発周辺では0.05ミリシーベルトが目標値になっている。実に60万分の1の低下だ。