「30年以上経過した球場というのは古い。MLBでも東京ドーム以前にできた球場は5カ所しかない。それらは毎年のように
ファンのニーズに応え改修している。中にはアナハイムのように球場半分を破壊、立て替えたものもある。
時代のニーズに合わせた空間を提供するのはエンターテインメント(エンタメ)の基本。コンサートなど他のイベント
は別としても、野球としては東京ドームは時代錯誤と言わざるを得ない」(MLB事情に詳しいスポーツライター)

米国にはかなり古い球場もある。ボストン・フェンウェイパーク(1912年開場)やシカゴ・リグレーフィールド(1914年開場)
は戦前に建設された。スタンド内通路や座席は狭いままである。しかし魅力的な新席や大型ビジョンを設置するなど、
可能な限りファンに応え、伝統と革新を融合させて今でも愛され続ける。

「東京ドームではネット裏にあった記者席を3塁側へ移動、同場所へ新設した高価席は不人気。今年も升席シートという
不思議な席を作った。ここ数年でも目立った改修は球場内スピーカーや座席改修といったものだけ。エンタメに欠かせない
大型ビジョンも開場初期と変わらず、センター後方とネット裏の2カ所のみ。スタンドから試合を見る客の気持ちが
わかっていないのではないか。全個室トイレにウォシュレットをつけたのは喜ばしいですが……」(前出の巨人担当記者)

野球のライバルはスポーツのみではない。映画やコンサート、ディズニーランドなどすべてのエンタメだ。他球場は早々と
危機感を抱き、改修に本腰を入れた。福岡や名古屋は外野後方の壁面すべてが連結された超大型ビジョンとなった。
大阪、千葉、仙台などは球場内に複数のビジョンが設置されている。甲子園にも従来の雰囲気を壊さないよう配慮しながら
『甲子園ライナービジョン』が付けられた。各球場ともそれらを最大限に活用、球場内エンタメ充実を図っている。
東京ドームが出遅れた感はいなめない。

近年は苦戦続きの阪神が、昨年はCSファイナルに進出、大一番で『伝統の一戦』が実現した。惜しくも巨人の4勝1敗
(アドバンテージ1つを含めて)に終わったが、名門復活の大きな期待を持たせた。