空ニ海二陸二 日本軍ノ活躍ヲ書キマショウ
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空ニ海二陸二 日本軍ノ活躍ヲ書キマショウ
支那河南省鄭州市覇王城野戦高射砲第七十四大隊配属
機関銃小隊長陸軍少尉
昭和十八年後半以降、支那大陸ノ制空権ハ全ク支那（米軍機）
側ニアッタ。ビー二十九ノ大編隊ガ銀翼ヲ輝カセナガラ、高度一万メー
トル位デ、真昼ノ空ヲ東北進シテイッタ。
北九州地方ガ爆撃サレタトイウニュースハソノ直後デアッタ。
高度一万メートルハ重機関銃、機関砲ノ射程外デアッタガ、立哨中ノ
兵ガ重機関銃ヲ発射シテイタ。後デ機関砲隊カラ注意電話ガアッタガ、
新兵ナノデ誤ッテ射ッテシマッタト報告シタモノデアッタ。
威圧スル敵編隊ヘノ衝動テキ発射デアッタラシイ。
射程八百ー千メートルノ重機関銃ヤ機関砲ハ、低空侵入敵機ガ対象デ
アルコトハ承知シテイタハズデアル。
旧式高射砲モ八千メートル位ノ射程デアッタカラ、ヨシ配備サレテ
イタトシテモ ビー二十九 一万メートルハ見送ルダケデアル。
雪ノ中ノ幕舎二穴居、無聊（ムリョウ・退屈ナコト）ノ生活ヲ繰リ
返シテイタ。或ル日、命令次第、敵機影ヲミナクトモ、高度五百カラ
千メートルヲ目標ニ弾幕ヲ作ル旨ノ指示ガアッタ。忘レモシナイ
昭和二十年三月十日、日本時間十三時ゴロ北方カラ ノースアメリカン
ビー二十五 二機、鉄路上南下ノ情報ガ入リ、爆音ガ微カニ風間ニ
聞コエルヨウダッタ。
ビー二十五 二機、鉄路上南下ノ情報ガ入リ、爆音ガ微カニ風間ニ
聞コエルヨウダッタ。⇒
※ノースアメリカン ビー二十五爆撃機 動力 ライト製 アール 一
二六〇〇サイクロン（一七〇〇馬力）×二 乗員六（内訳操縦二
航法・爆撃手一、回転銃座・機関士一、無線・側面銃座一、尾部銃座
一、）全幅二十、六メートル、全長十六、一メートル、
自重九、五八トン、最大全備重量十九トン、最大速度
時速四百四十二キロメートル、航続距離四、三〇〇キロメートル
上昇限度七、六〇〇メートル、武装 十ニ、七ミリ機銃×十二
機首ニ対艦攻撃用七十五ミリ砲一 爆弾 一、四四トン
（一千四百四十キログラム）
一、昭和十七年（一九四ニ年）四月十八日ドーリットル空襲
航空母艦ホーネットカラ飛ビ立ッタ十六機ノビー二十五ガ日本本土
ヲ初空襲シタ飛行機トシテ知ラレテイル。
ニ、昭和二十年七月二十八日 ニューヨーク エンパイアステートビルニ
衝突シタ飛行機デアル。
⇒命令指示通リ北站カラ射撃ガハジマッタ。陣地ヘノ旗ヲ振ッテ
射程距離ニカマワズ射撃ヲ命ジタ。又、兵ニハ各壕ニ速ヤカニ入ルコ
トヲ命ジ、自ラモ壕ニ入ッテ鉄橋ノ空ヲ見テイタ。射撃開始後一分足
ラズニ爆音ヲ消シタ二機ガ北方カラ、低空進入シテキタ。
テイタ。射撃開始後一分足ラズニ爆音ヲ消シタ二機ガ北方カラ、
低空進入シテキタ。鉄橋上ヘ進入スルト見ルマニ弾幕ニ入リ片翼カラ
火ヲ噴キ、鉄橋上北站ヨリ三分ノ一位ノ所カラユータウン、
北岸ノ川岸ニ火達磨トナッテ落チタ。
他ノ一機ハ高度ガ高ク、エンジンヲカケ、橋ノ中程カラ東方川下ノ
方ヘ旋回、消エテイッタ。
射撃ハ止ミ、万歳ガ各所カラ一斉ニ起コッタ。万歳トハ
コンナ時ノ言葉ト痛感シタ。皆跳トビ上ガリ、小躍リシ、雪ノ
中ニ獣ノヨウナ喊声ヲ上ゲテイタ。敵機ハ、弾ノ爆発スル音、
ガソリンノ爆発音等ヲ轟カシナガラ、午後ノ日ヲアビテ
燃エツヅケテイタ。
対空部隊ノ喜ビハ雪原ニ踊リ続ケテイタ。四時頃火ハ消エ
調査ガ始マッテイタ。分隊長ト兵四名ヲ見学ニ派遣シタ。
三月十日ハ旧陸軍記念日デモアッタ。夕食ハ、トッテオキノ赤飯ト
酒ガアガリ、兎料理モハジマッテイタ。分隊長ノ報告ヲ全員デ
聞キ乾杯宵ヲ徹シテ祝ッタ。
分隊長ノ話ノ中デ覚エテイルコトハ、七十五ミリ砲ガ
・ノースアメリカン ビー二十五双発爆撃機ハ対艦攻撃用ニ
七十五ミリ砲ヲ機首ニ搭載シテイタ
焼ケテイタコト。機関砲五、
搭乗員五人ラシイコト、完全ニ燃エテシマッタガ川岸ニ、スリッパノ
片方、少シ離レテ、トランク一、トランクノ中ニ女ノ写真、
女ノ下着シュミーズナドトイウ言ウ言葉ハナカッタ、猿又
パンティ等ノアッタコト、釣竿ラシイモノ一、ナドデアル。
アメ公スリッパデ爆撃デスネ。ト言ッタノハ分隊長デアッタ。
女ノ下着ヲ飛行機マデ持参トハ、アメサンラシイ、オ守リノワケ・・
アメサンラシイ、オ守リノワケデスカネ、トイッタノハ
分隊長デアッタ。米人飛行士ヤソノ家族ヲ憐レムコトヤ、
残酷ナ戦争トイウモノヲ思ウ余裕ハナカッタ。敵機ニ損害ヲ
与エタトカ、帰還途中墜落シタトイウ情報ハ何度カアッタガ、
ソレハ感激ニナラナカッタシ、不確カサモカゲッテイタ。
目前ニ敵機ガ炎上シタ事実ハ、私ニトッテ最初ノ最後ノコトデアッタ
翌日昼近ク一機ガ友軍機ヲ探スカニ、高度三千位デ旋回、投弾モナク
去ッタガ写真ヲ撮ッテイタラシイ。弾幕ヲ勢イヅイテ作ッテイタノ
デ、接近シテコナカッタノカモシレナイ。高射砲ノ音ハ太鼓ヲ叩イ
テイル感ジデアル。
聞キヨウニヨッテハ、爆撃ハ イヤイヤ ノヨウニ、又、追イ払ウ
様ニ鳴ルノガ各隊ノ発射音デアル。
南岸ノ高射砲陣地ヲ散策スル日モアッタ。
昭和十三年日本軍ノ進撃阻止ノ目的デ、黄河ノ鄭州花園口ノ大堤防ヲ
決壊爆破シタ彼方ヲ望見シタガ、茫々漠々ノ空ニ黄河ハ ユッタリ
ト流レ、消エテイタ。
昭和二十年三月三十日、即日帰隊ノ命令デ、野戦高射砲第七十四大隊
配属ヲトカレ、蘭風ノ中隊ヘ帰隊シタ。大隊ハ師団ト共ニ満ソ国境ヘ
転進ラシカッタガ、私ハ部下ノ一部ト共ニ残留、新編成ノ第六
独立警備旅団独立警備歩兵第三十三大隊銃砲隊長ヲ命ジラレ、
命課布達ヲ受ケ、隊付キ将校以下下士官、兵全員ノ申告ヲ受ケタ。
北支派遣中和（後至毅）第一五六八八部隊樋口隊。兵舎ハ蘭風県庁
建物ノ一部臨時使用デアッタ。大隊長ハ・・・・・・
北支派遣中和 後至毅 第一五六八八部隊樋口隊。兵舎ハ蘭風県庁
建物ノ一部臨時使用デアッタ。大隊長ハ北支方面軍司令部カラ
キタ大尉、第二中隊長ハ高崎市出身ノ秋山中尉、同期ノ副官以下
数人イタ。
中隊ニハ、現地召集兵ト朝鮮志願兵モ各一割程度入ッテイタ。
部隊ガ改編ニナル度ニ装備ガ縮小低下スル傾向ハ否メナカッタ。
銃砲隊ハ重機関銃ト迫撃砲小隊、指揮班中隊本部ノ編成デアッタ。
歩兵中隊ハ、本部ノ蘭封ノオク、河北省東明県、河南省考城県、
国民権県ニ分駐シテイタガ、省境地区ハ敵地区ガ多ク、カツ蘭封
北方五十キロノ透明付近ハ、山東、河北、河南三省ノ接点デ敵ノ蠢動
ガ多ク、状況ガ悪化シテイタ。ソコデ、
昭和二十年六月十日、トラック輸送デ一個中隊ガ先発、河北省東名県、
河南省考城県付近粛清討伐ガ開始サレタ。
旅団カラ派遣ノ山砲隊ヤ歩兵中隊、銃砲隊ノ大隊主力ガ、十四日夜
出発考城ニ集結、討伐戦ガ展開サレタ。五覇尚、斉王集、東夏営、
張北杉デ交戦四回、二十三日間デアッタ。
東夏営ト張北杉ノ交戦ハ、払暁カラ一日続イタ激戦デアッタ。特ニ
張北杉デハ現地自衛隊ガ参加、包囲シテイタノデ、退路ヲ失ッタ敵ガ
袋ノ鼠デ窮鼠ノ抵抗ヲシ、膠着状態ガ続イタ。
山砲隊ノ焼夷弾デ火災ガ起コッタガ、城壁デ頑強ニ抵抗スル敵ニ
迫撃砲弾ヲブチ込ミナガラム、機関銃射撃ヲ浴ビセタ。
砲ヤ機関銃ノ援護射撃下ニ、歩兵ガ分隊・小隊毎ニ、軽機関銃ヤ
擲弾筒ノ射撃ヲ加エナガラ、城壁ニ接近シテイッタ。
機関銃射撃ヲ浴ビセタ。砲ヤ機関銃ノ援護射撃下ニ、歩兵ガ分隊
小隊毎ニ、軽機関銃ヤ擲弾筒ノ射撃ヲ加エナガラ、城壁ニ接近シテ
イッタ。ソノ時、前方ノ麦畑ノ中程デ「万歳、万歳」トイウ
声ガシタ。眼鏡デ見ルト兵ガ射タレタラシカッタ。私ハ
機関銃陣地ヲ替エサセ倒レタ兵ノ正面ノ城壁ノ敵兵ヲ射撃サセ、
負傷者ヲ後方ヘ下ゲル援護ヲ続ケサセタ。
五人程ノ負傷者ト二人ホドノ重傷者ガ東門正面ノ小隊カラ出タラシイ
状況ニ、後ロノ土手マデサゲルコトガ命ジラレ、山砲ト迫撃砲ノ
攻撃継続ガ伝令サレタ。ヤガテ敵ト対峙ノママ交代ノ昼食トナッタ。
昼食後一時間ホドシテ、眼鏡ノ中ニ手ブラデ五、六人ノ敵兵ガ門カラ
出テ来ルノガ見エタ。
『降伏ラシイゾ、射ツノヲ待テ』トイウ声ガ走ッタ。続イテ
二十人程ガ出テキタ。敵ノ射撃ハ止ンデ、城内ハ何カ所燃エテイタ。
敵ハ一人 十五発程度シカ弾ヲ持ッテイナイシ、手榴弾モ二個程度
ナノデ、弾ガ尽キタカ、指揮官ガ倒レタカ、戦死者ガ多イカデ降伏ニ
ナッタモノト判断サレタ。
歩兵隊ガ部落掃討ニ入ルラシカッタ。部落民ハ夜ノウチニ逃亡シタ
ラシク人影ハ見エナカッタ。
蘭封ヘ前進ヲハジメタ。日ハスデニ落チテイタ。ソノ後中隊ダケノ
討伐ニ共同参加ヲ命ジラレ、四日間ホドノ戦闘行動ヲ終ワッテ帰隊
大隊長ニ報告ヲ終エタ。
四六時中ノ警戒ガ警備隊ノ実態デハアッタガ、巡察ヲカネテ、
城壁上ノ眺メヤ、城外ノ色ヤ空ノ涯ノ茫々、紅ク混濁シテ・・・
マッテマシタ大統領！
https://i.imgur.com/y2Ut9eS.jpg
城壁上ノ眺メヤ、城外ノ色ヤ空ノ涯ノ茫々、紅ク混濁シテ病メルカノ月
ナドノ悠久ニフレルコトヲ楽シンダ時流モアッタ。
七月下旬、河北省東明 分駐ノ第二中隊カラ敵ノ蠢動ガ多ク、状況ガ
悪化シテイル旨ノ打電ガアリ、ソノ頻度ガ増シテイルコトヲ副官カラ
聞イタ。河北、河南、山東ノ三省ノ境界域ガ、敵ノ移動地域デアリ、
本拠デモアルコトハ分カッテイタガ、蠢動ガ異状ニ多クナッタ理由ニ
ツイテハ分カラヌママ、何時デモ出動命令ニ応ジラレルヨウナ態勢ヲ
整エ、大隊ハ警戒態制ニ入ッテイタ。ソレハタブン
昭和二十年八月十日、河南省考城県東明集付近ノ討伐戦中ノ サ中デ
アッタト思ウ。焦ゲツクヨウナ曠野コウヤノ涯ハテ デ、
胸ヲ突キ刺サレルヨウナ戦局ノ決定的ナ伝令電報ヲ手ニシタ
ワタシハ、体中ノ血ガ引キ、崩レルヨウニ 土 ベタニ胡坐シ、
思ワズ軍刀ヲ握ッテイタ。表情ヲ変エテハナラナイコトハ
分カッテイテモ、ドウニモ耐エラレナカッタ。
戦局ノタダナラヌ情況ハ タチマチ伝ワッテイタ。手放シニ
泣キナガラ守備ニツイテイタ若イ兵、体ノ置キ場モナイ
不安カラトリマク・私ヲ・下士官、将校ノ顔、
言葉ヲ忘レテ放心シテイタ私ノ耳ニ、砲声ハハジケテイタ。
コノ時ホド中隊長トシテノ重責ニ呻吟シタコトハナカッタ。
厳シイ戦闘ハ昼夜断続シテイタ。兵ノ命ヲ完全ニ失ナワナイ
ヨウニ 戦ウコトハムシロ苦シカッタ。
デモ幾人カノ尊イ命ヲ失ッタ。身ヲ切ルヨウニ苦シクモ切ナイ
モノダッタ。トニカク個人トシテモ中隊長トシテモ、文字通リ心身ヲ
スリヘラス毎日ニ耐エテイタ思イ出ガアル。・・敗戦ノ放送・・
スリヘラス毎日ニ耐エテイタ思イ出ガアル。
・・敗戦ノ放送・・
昭和二十年八月六日、広島市ニ特殊爆弾ガ投下サレ、広島市ハ全滅
三十万人死亡トイウコト、ツイデ八月九日、長崎市ニモ
特殊爆弾ガ投下サレ、ソノ被害ハ広島市同様トイウ情報ガ入電シ
タコトヲ副官カラ聞イタ。
八月八日ノ朝ダッタト思ウガ内務班長ガ『朝鮮志願兵ガ逃亡シタ
ラシイ』ト報告ニキタ。
『全員カ』ト聞クト、『私ノ班ハ全員デス』トイウ。ソコデ、他ノ
班長ヲ呼ビ至急調ベルヨウニ命ジタトコロ、「朝鮮志願兵ハ
一人モ見当タラナイ」トイウ報告デアッタ。副官ヘ連絡電話ヲ
入レタラ、他ノ隊カラモ今回同様ノ連絡ガアッタトイウ。
戦局ノ容易ナラザル事態ノ到来ガ予想サレタガ、何ノ情報モ入ラナイ
不安ガワイテイタ。兵ノ動揺シナイヨウ班長ニ注意シタ。朝鮮志願兵
ノ脱走ハ朝鮮独立運動ト思ワレタガ、地下組織ノ存在ニ驚カサレタ。
八月十三日ニ、近ク天皇陛下ノ重大放送ガアルラシイトイウ連絡ガ
入ッタ。停戦放送カ休戦命令ダロウト言ッテイタトコロ、十四日蘭封
駐在ノ将校ハ明十五日十一時大隊本部集合、
天皇陛下ノ重大放送ガアルカラ拝聴スルト言ウ命令ガキタ。事態ハ
急迫シテイル思イデアッタ。
十五日朝ノ点呼時、中隊全員ニ今日十二時カラ天皇陛下ノ
重大放送ガアリ、大隊本部ヘ聞キニ行ク旨ヲ伝エ、如何ナル事態ニ
ナロウトモ、日本軍ラシク一致団結ノ行動ヲシナケレバナラナイ、
イツ出動命令ガ出テモヨイヨウニ身辺ヲ整理シ厳戒態勢ヲトッテ・・・
解像度低ク、ボヤケテ読ミ辛イ
良画像求ム
ウマクトレナクテ申シ訳ゴザイマセン
https://i.imgur.com/88Zxfu6.jpg
冬ノ中国ニオイテ老婦人トソノ孫ヲ救助シタル事ニ対スル表彰状也
誠美談トイエヨウ
イツ出動命令ガ出テモヨイヨウニ身辺ヲ整理シ厳戒態勢ヲトッテ
待機スルヨウ伝エ、軽挙妄動シナイヨウニ注意シタ。
現地召集ノ下士官、兵ノ動揺ガ感ジラレタノデ、現地召集ノ下士官ヲ
呼ビ、放送後ニ大隊長ノ指示ガアルダロウカラ、ソレヲ待ッテ行動
スルヨウニ伝エタ。整列シテ大隊長ヲ迎エ、
先任順ニ並ビ通信隊長ノ操作スル通信拡幅機ニ敬礼シテ、
十二時カラノ放送ニ聞キ入ッタ。シカシ雑音ノタメト
天皇陛下独特ノ口調カラ、ソノ内容ハ時々ノ片言（カタコト）モ
半解モデキナイ程度、殆ンド不明デアッタ。
大隊長モ要ヲ得ナイ訓示デ、団結行動ダケ強調シテイタガ、迫力ノ
ナイモノデアッタ。隊附キノ将校ハ沈黙ガ息苦シイヨウニ
話シカケテキタガ、放送内容ハ私ト同様ニ的確ニ分カラナイママ、
トニカク中隊トシテ団結、コレカラノ事態ニ対処スルシカナイト
イウコトニナッタ。
祖国ノ混乱ガ一瞬去来シタ。中隊全員ノ集合ヲ命ジ、
天皇陛下ノ重大放送ノ内容ガ、雑音デ分カリニクイ点モアッタガ、
トモカク、『耐エ難キニ耐エ、忍ビ難キヲ忍ビ戦争ヲ終結スル』ト
言ウ趣旨ト拝シタコトヲ伝達シタ。
今後ノコトハマダ分カラナイガ、ドンナ事態ニモ中隊ハ一致団結、
同一行動ヲトルヨウ強調シタヨウニオモイダサレル。
兵タチハ『呻キ』ノヨウナ動揺ヲ漂ワセナガラ各内務班ヘ
散ッテイッタ。動イテイルノハ初年兵ダケ、中隊ハ、全ク虚脱状態、
痴呆ノ集マリノヨウニナッテシマッタ。夕刻ニナッテモ、洗濯物ヲ
取リ入レルコトモナク、中隊内ハ森閑、寂寞トシテ動ク兵ノ
カゲモナク、洗濯物ダケガ白ク庭ニハタメイテイルダケデアッタ。
寂寞トシテ動ク兵ノカゲモナク、洗濯物ダケガ白ク庭ニハタメイテ
イルダケデアッタ。夕食後、現地召集ノ（在留邦人カラノ召集）ノ
下士官・兵ガ、「家族ノコトガ心配ダカラ除隊サセテホシイ、今ノ
ウチナラ何トカナルト思ワレルカラ」ト、申シ出テキタ。
副官ヘ連絡スルト、司令部ヘ出張シタノガ、
明日（十六日）ノ夕刻カ、明後日（十七日）ニハ帰ル予定デアル、
何ラカノ指示ガアルダロウ、ト言ッテイタノデ、
司令部カラノ支持ガアルマデ、荷物ヲマトメ、食糧モ携行食二十食ヲ
用意、現地除隊者名簿ト行先予定ヲ記入提出スルヨウニ言ッタ。又、
日本領事館モアルコトダシ、何トカ善後策モトッテイルダロウト付ケ
加エタ。指示ガアッタノハ 八月十七日ノ夕刻デアッタト思ウ。
十八日ノ朝 八名ノ下士官・兵ノ無事ヲ祈ッテ送リ出シタ。
武器ハ帯剣ダケデアッタガ、他ノ軍装ハ作戦行動時ト同ジデアッタ。
昇任期間ノ六カ月以内繰リ上ゲガ命令サレ、
八月二十日付陸軍中尉ニ任ジラレタ。終戦中尉トカ言ワレタガ、
一年九カ月ブリノ昇任デアッタ。
中隊デモ三名ノ下士官ガ昇級、兵長ノ下士官昇任ガ七名程アッタ。
コノ頃、警備地区ノ警備ガ一応全面的ニ支那自衛隊ヘ移譲ノ形トナッ
タガ協力スルコトヲ約シ、見返エリニ野菜等ノ副食物買イ付ケノ
便宜ヲ手配シテクレルコトヲ条件トシタ。
共産軍ノ進出ガ急速カツ頻度ヲ増シ、状況ハ日毎ニ
悪化シ続ケテイタ。
東明駐在ノ中隊救出ノ緊急出動ヲハジメ、何度カノ緊急出動ヲ繰リ
返シ、大隊ガ蘭封市内ニ終結ヲ完了シタノハ、九月下旬デアッタ。
コノ間、数名ノ戦死者ヤ負傷者モ出タ。出動ノナイ日ハ、渡支以来ノ
書籍ヲ拾イ読ミナガラ、営庭ノ穴デ焼却シタリ、変転スル運命ノ時ヲ
作歌ニ託シテイタ。敗戦トイウコトハ明確ニナッテイタガ、司令官・
本項ノ全文章及全内容ハ完全ニ正シキ事實トシテ大本營ニ依リ認可セラレタリ
全臣民ノ爲ニ畏クモ現人神タル天皇陛下ハ御自ラ本項ニ御目ヲ通サレ給ヘリ
此ノ項目ノ内容ヲ疑フハ現人神タル天皇陛下ヲ疑フト同義ニシテ
誤リタル思想ヲ持ツトセラルヽ場合ハ政治犯思想犯トシテ内亂罪ノ對象トス
明確ニナッテイタガ、司令官以下師団参謀連ガ、
“玉音”放送ヲ米英側ノ謀略トシテ敢エテ信ジヨウトシナイデイルト
イウ話モ聞コテキタ。ソウイエバ日本占領ノ米軍ハ、日本ノ若イ女タ
チヲ連レ去リ、男タチハ皆金玉ヲ切リ取ラレテイルトイウ。
コンナ馬鹿ゲタ噂マデ流レ、人間ノ絶望ト願望ガ混沌トシテイタ日々
モアッタ。一方デハ刺激ヲサケタ「終戦」語ガ使イ出サレテイタ。
敗戦モ終戦ニマチガイナイガ、イキリタッテイル兵モオオク、内外ノ
緊張ハ一触爆発ノ危険性ヲハラミ続ケテイタ。
兵ハ兵器ヤ馬ノ手入レヲシ、昼夜臨戦態制ヲトッテイタ。危険ノタメ
兵ノ単独外出ハ禁止シ、不測ノ事態突発ニヨルトラブルヲ避ケテイタ
ガ野菜ノ買イ付ケニハ必要以上ノ兵員ヲ軽武装外出サセテイタ。
酒食ヤ調味料ハ食イ延バセバ二、三年分保有シテイタガ、
副食特ニ野菜ノ欠乏ハ深刻デアッタ。
野菜ガ欠乏スルト、兵ノ顔ハ日毎ニ生気ヲ失イ、光ヤツヤガナクナリ
半病人メイテクル。ソコデ私ハ、支那自衛隊ヘ掛ケアイニユクコトヲ
決意シ、ソノ軍政力モアテニナラナイト思イナガラ駄目デ元々ト
炊事係ノ下士官ト行クコトニシタ。
隊附キ将校ニハ、手榴弾ノ爆発音ガシタラ出動スルヨウニ命ジ、
下士官、兵長ト共ニ手榴弾持参以外ハ常時外出時ノ服装デ出カケタ。
自衛隊ノ歩哨ニ『隊長ト話シタイコトガアルノデ』ト申シ入レタ。
顔見知リノ副隊長ガ「ニコニコ」ト出テキタ。下士官ト兵長ハ応接室
ニ待機サセ、単刀直入ニ野菜買イ付ケノ困難ヲ訴エタ。
私ノ表情カラカ対談ヲ取リマク警戒ハ厳シイ感ジダッタノデ奴ラガ・
ニ待機サセ、単刀直入ニ野菜買イ付ケノ困難ヲ訴エタ。
私ノ表情カラカ対談ヲ取リマク警戒ハ厳シイ感ジダッタノデ奴ラガ
ヤッタラコチラモト、乗馬ズボンノ物入レノ手榴弾ヲ握ッテイタ。
貨幣価値ノ下落デ農民ガ混乱シテイル旨ヲ言ッテイルノガ分カッタ
ノデ、物々交換ニモ応ジルカラ隊長ノ友情ヲ得タイト申シ込ンダ。
茶トタバコヲススメラレ、緊張ガトケタ。ガ、
コノ時副隊長ヘノ贈リ物ノ用意ヲ忘レタコトニ気付キ、『後デ食塩
一袋オ届ケスル旨ヲ言ッタ。』
『謝々、オ話ノ件努力スル』、旨ヲ繰リ返シテイタノデ席ヲ立ッタ。
副隊長ハ門近クマデ送ッテキタノデ握手シテ別レタ。帰路贈リ物ヲ
忘レタコトヲ言ッタラ下士官モ
『コチラノ習慣ヲワスレテイマシタ。食塩一袋ハ折リ返シ届ケマス』ト
言ッタ。ソノ後細々ナガラ、物交中心ニヨル野菜買付ケモデキルヨウ
ニナリ、兵ハ野菜ニ蘇生シタヨウニ顔ニツヤヲ戻シタ。
敗戦ハ 箸 ノ上ニモ厳シカッタ思イ出ノ一ツトシテ忘レラレナイ。
出動ノナクナッタ隊内ハ、朝夕ノ点呼ト体操、兵器ト馬ノ手入レ、
炊事ヤ立哨、支那ノ子供泥棒ノ追イ払イ等ノホカハ格別ノコトモナク
若サヲモテアマスカノ日々デアッタガ、手製ノ碁、将棋モハジマリ、
賞品付キノ・碁・将棋大会ヲヤッタコトモアッタ。マタ角力・スモウ⇒
※ 角力（カクリョク・相撲・昭和初期マデハ角力、チカラクラベ）
⇒以下ノ・・・ミニ運動会モヤッタ。木・石・金属ニヨル彫刻、
小間物作リナドヲヤッテイル者モアッタ。コレカラ先ヘノ不安ヲ底流
サセナガラ退屈ナ日々ヲオクッテイタ。
私ハ徒然ニ、身辺整理、読書、作歌、随想メモヲ続ケテイタ。
野菜ノ物交買イ付ケデ村長ト親シクナッタガ、
一望千里トイイタイ麦畑大平原、ソノ中ニ
楊柳（ヨウリュウ・ヤナギ）トササヤカナ土壁 ニ近イ城壁ヲ
メグラシタ蘭封郊外ノ小村トトモニ
印象ニ残ッテイルノハ『日本軍敗ケ中国勝ッタケレド・・・・・』
蘭封郊外ノ小村トトモニ 印象ニ残ッテイルノハ
『日本軍敗ケ中国勝ッタケレド、トイジャン（隊長）、後二十年モ
タテバ、日本ト中国昔ト同ジマタ、ポンユー（朋友）』ト言ッタコト
デアル。⇒
※中国河南省 蘭封＝開封市ノ東ニアル町 ソノ東二百キロアマリ
ノ所ニハ上海行キノ鉄道分岐駅ノ徐州市（江蘇省）ガアル。
⇒日本トハ桁違イノ興亡数千年ノ歴史体験ニ鍛エラレタ支那人ノ血ニハ
歴史意識ガ生キテイテ、勝ッテ傲ラズ、負ケテ怯ムコトノナイ、大陸ノ
自然風土ト歴史ノ中ニ、悠々ト強靭、執拗ニ生キ継イデイル偉大ナ
民族ノ風格ガ考エラレタ。儒教思想ヨリハ、無為自然ノ老荘思考ノ
誕生コソ主流、本命デアルト思ワレル人間ノ生キ態（ザマ）ノ一端ニ
フレタ思イハ今モ残ッテイル。
《第一次武装解除》
昭和二十年十月早々、河南省開封市集合命令ガアリ、種々ノ思イ出
兵舎ヲ撤収、蘭封站（駅）軍用列車ヘノ積ミ込ミニ野営シタ。激戦ノ
土肥原兵団ノ戦死者ノ墓標ハ、城壁上ヤ站（タン・駅）ニアッタガ
皆倒サレテオリ敗者ノ心ヲ一層重クシタ。
十月十日、倒サレテイル站ノ墓標ヲミナガラ、二度トコノ駅ニ降リ立ツ
コトモアルマイト蘭封ヲ後ニシ大隊ハ開封市内ノ倉庫ニ集結シタ。
十月末頃ダッタト思ウガ、開封站南郊ノ日本軍ガ作ッタ、
収容五万人位ノ開封兵舎ニ移ルコトニナッタ。自ラ作ッタ兵舎ヘ
自ラ捕虜トシテ入ル運命ノ皮肉モ去来シタガ、既ニ他部隊ガ入ッテ
イルトノコトデアッタ。食糧等ハ二年分、食イノバセバ三年近クハ・
他部隊ガ入ッテイルトノコトデアッタ。食糧等ハ二年分、食イノバセ
バ三年近クハナントカナルダロウトイワレタガ、コレラヲ車デ
運ブコトニナッタ。
コノ時、作戦カラ引キ揚ゲ、集結シテキタ蒋介石支那軍ノ戦車兵団ガ
四十台程デ、モノスゴイ音ヲタテナガラ、城南カラ入リ、示威ソノ
モノニ デモ行進シテイルノニ逢ッタ。
中隊長以上ハ、元、日本軍司令部ニ陣取ッテイタ重慶蒋介石軍ノ
接収武装解除司令官ニ挨拶ニ行ッタ。
若イ中佐デ、日本ノ陸軍士官学校出身日本語モ日本人然トシタ
紳士デアッタ。我々ヲ労イ、コウイウコトニナッタケレド、イロイロ
アッタラ申シ出テ欲シイ旨ヲ言イ、茶ヲススメラレタ。
市内ニハスデニ邦人ノ姿ハ見エナカッタ。
《第二次武装解除》
昭和二十年十二月十四日、第二次武装解除ガアリ、各中隊五丁ノ小銃
オヨビ小銃弾ヲ残シテ自衛用トシ、他ノ武器ハ移譲シタ。軍刀ヤ眼鏡
ハ私物デアッタガ、武装解除ノ対象トサレタ。伝家ノ宝刀モ多ク、
命ノ支エノヨウニ愛用転戦シテキタダケニ、軍刀移譲ニハ
切歯扼腕シタ。歯コボレノアル刀ヲ見納メルヨウニ見、思イザマ
楊（ヤナギ）ノ木ニ切リツケ、小鍔（コツバ）ヲ抜キ刀緒ト共ニ
ノコシタノハ今ニアル。軍刀ガナクナリ丸腰ニナッタ日カラ、心モ
体モ奇妙ニ調子ガ狂ッタヨウナ何日カガ続イタ記憶モアル。
運命的ナ昭和二十年モ終ワリ、捕虜生活トイウ境涯ノ中ニ
昭和二十一年ノ元旦ヲ迎エタ。炊事デハササヤカニ元旦ノ配慮ヲシタ
ガ、暗イ元日デアリ、帰国ノアテ ナイ望郷ノ一日デアッタ。
《復員列車ト復員船》
楊（ヤナギ）ノ芽ガミエダシタ昭和二十一年三月中旬、突如トシテ
大隊ノ帰国復員準備ノ指示ガアッタ。歓喜ハ爆発シテ歓声トナリ、
皆ノ顔ニ昨年八月以来ノ生気ガ沸騰シ、目モ顔モ、動作マデガ輝キ・
目モ顔モ、動作マデガ輝キ弾ミダシテイタ。三月二十二日、
復員列車ヘノ積ミ込ミヲ完了シタ。上海マデノ治安ガ悪イトイウノデ
一カ月分ノコメヤ塩、砂糖、野菜ナドヲ、無蓋車ノ両側ニ弾除ケニ
側縁ノ高サニ積ミ、米叺（カマス・ムシロ製ノ嚢フクロ）ガ
土嚢ガワリノ格好デアッタ。
支那ノ警乗ハ一個分隊位デアッタ。自衛兵器ハ各車両一挺アテノ小銃
ト弾薬各三十発ダケデアッタ。 丸腰ノ寂シサハアッタガ運命ニマカ
セルシカナイ。「死ヌモママヨ、戦友デ死者モイルノダカラ」ノ思イデ
アッタ。
昭和二十一年三月二十三日開封站（駅）カラ複雑種々ノ想イヲ抱キナガ
ラ発車、隴海線ヲ時速五、六十キロ位デ東進シタ。⇒
※隴海線・・中国・江蘇省連雲市ト甘粛省蘭州市ヲツナグ鉄道路線
全長一千七百五十八キロメートルノ鉄道路線。
⇒駐留シタ蘭封站、対空警備ヲシタ民権站、二年余リノ思イ出ハ、皮肉
ナ運命トトモニ去来、走馬灯ノヨウナ翳（カゲ）ガ断片的ニメグリ
ツヅケテイタ。
徐州站（駅）カラ津浦線ヘ入ッタコロ日ガ暮レテイタ。⇒
※津浦線・・現在ハ 京ロ線 京ロ鉄路 北京市ト上海市ヲ
繋グ全長一千四百六十二キロメートルノ鉄道路線。
参考 日本ノ東京・鹿児島間ヲ繋グホボ、一直線ノ新幹線ノ鉄道
路線ノ長サハ、全長一千四百六十八キロメートル。
⇒次ギノ日（三月二十四日）ノ昼近ク揚子江北岸ノ浦口站着、
船橋式（鉄道連絡船）ノ連絡方法デ汽車ハ南岸 南京站（駅）ヘ
渡ッタ。支那古典ニ登場スル詩歌ノ廬山、香炉峰ヤ南京陥落ノ国ヲ
アゲテノ祝賀ノ日ノコトモ去来シタ。
蘇州ノ通過ハ残念ナガラ夜デアッタ。・・・・
蘇州ノ通過ハ残念ナガラ夜デアッタ。
上海站（駅）着ハサラニ翌日ノ夕刻デアリ、カナリ疲レヲ感ジテイタ
《国際都市上海ノ、駅ノ便所》
十二単衣ノ女性ノハ排泄ナドドウスルノカナド思ッテイタラ、書名ハ
忘レタガ、古典ノ、中ニ 『アノ美女ノ糞ハドンナノヲスルノカ』ト、
「下使イ」ノ男ガ部屋ノ中ノ箱便ノ蓋ヲ開ケテミタラ、花一枚ガ入ツテ
イタ トイウノヲミテ、ウマク書イテイル、ト思ッタコトガアル。
漆塗リノ箱ヲ部屋ノ隅ニオイテ、大小便ヲ排泄シテイタラシイ。
香ノ愛用ハ便ノ臭イニ関係ガアッタノカモシレナイ。支那ノ家ハ道ニ
面シテ入口ノ所ニ衝立ノヨウナ高サ幅トモ、二メートル位ノ
塀ガアリ、コノ左右カラ入ッテ観音開キノ扉ヲ入ルト中庭ガアル。
母屋ノ右カ左ノ風下ニアタル部分ニ、母屋ノ壁ヲ連ネテ塀ダケノ
一画ガアル。扉モ屋根モナイ。入ルト奥ノ方カラ黄塵ヲカブッタ
大便ガ黒クナッテイテ、ソノ手前ニ用便用ノ幅ニ煉瓦ガ二ツアル。
感想ト土埃カラ臭気ハ少ナイシ、小便モ乾イテイル。
ナレルト大陸的、開放的デ快適ダガ、公衆便所ハ使用者ガ多イ
ダケニ臭気モ強イ。
村ニモ町ニモ公衆便所ハ多イガ、コレハ糞掻キ人ガイテ肥料ノ原料ト
シテ集メルタメラシイ。公衆便所ハ、男女別ノ仕切リナドナイカラ、
駅ノ便所ナドデ花嫁サンガ隣人ト頑張ッテイル図ハ珍シクナイ。
国際都市上海駅ノ便所ニハ、壁一重ダケノ仕切リガアッタ。シカシ、
斜メ屋根百メートルノ奥ノ方ガ女用、前ハ線路デ何モナイ
開放的ノモノ。土間ガ舗装シテアッタダケデアル。栗ヤ、
高粱（コー・リャン支那語・唐黍）ヲ常食トシテ、何モカモ乾イテ
イルカラ、排泄物モ粘着性ガナクコノ程度デ間ニ合ウラシイ。・・
イルカラ、排泄物モ粘着性ガナクコノ程度デ間ニ合ウラシイ。
中支ノ方デハ稲藁ノ縄ガ公衆便所ニ用意サレテ尻拭（シリヌグ）イ
ニ用イラレテイタトイウ。農家ノ場合放シ飼イノ黒豚ガ食ベテシマウ
カラ、便所ハ清潔ナモノデアル。町デハ閉門後ハ絶対ニ部屋カラ
外ヘ出ナイノデ、寝台下備エ付ケノ甕デ用ヲタスガ、コレラハ
早朝ニ公衆便所ヘ運ンデアケル。コレハ女ト子供ノ仕事デアル。
公衆厠（カワヤ）ヘハヤガテ糞掻キ人ガ回収ニ来ル排泄モ食欲ニ
ヨル食事ト同様、生キテイル人間男女ノ文字通リ自然ノ生理現象、
恥ズカシガッタリ、隠シタリスルコト無用ノ解放的大ラカサハ、
ヤハリ大陸的トイウカ、凡ソ日本ノヨウニ「コセコセ」シテイナイ。
国際都市上海ノ駅ノ便所ハ上記ノ通リデ便所ジャナクテ不便所、
「何ガ国際都市ダ、コノ文化度ノ国ニ負ケタトイウワケカ、」ナドト
腹立タシカッタ、文字通リ『腹フクルル』思イヲ 今更ニシタ。
駅カラ宿舎（兵舎）ヘノ道ハ雨ノ中ノ泥道、何度カ往復シテ荷物ヲ
運ビ終ワッタ時ハ夜明ケニ近カッタ。兵舎ハ今時ノ牛舎同様最低ノ
仮宿舎デアッタ。
邦人ノ引キ揚ゲ船モ何度カ望見サレタ。
吾々ハ税関検査ヲ受ケルタメノ準備ヲ進メテイタ。税関検査ハ広イ
野原デ並ンデ行ワレタ。検査ハ名バカリ、好キ勝手ナ検査官ノ
略奪デアッタ。
私ハ予備ノ 一装用ノ軍服ヲトリアゲラレテシマッタ。私ハ時計ヲ
飯ノ中ヘ隠シテイタノデトラレナカッタガ。時計ハ殆ンドトラレテ
シマッタヨウデアル。
種々取リ上ゲテイタガ、記帳スルデモナク検査官ノ役得私物化ヲ
シテイルラシカッタ。イカニモ支那ラシイ トハ思ッタガ私物モ
官物モ区別ナク取リ上ゲ私有スル態度、文化度ノ低サニ、又々コ
ヤツラニ負ケタノカ ノ屈辱ニ切歯扼腕、忍苦ノ限リニ「ブツブツ」
言イアッテイタ。トモカク種々アッテ四月三日、引キ揚ゲ船ヘ・・
日本ヲ潰シニアメリカハカカッタケド温厚ナ穏ヤカナ人達ダトワカッテ同盟結ンダノデスカ？
甚ダ、スレ違イデハアルノデ余所ヘイクベシ。
ダガ、ツキアオウ。
中華社会ハ母系社会ナノデ漢人ノ母デナクテハ漢人トシテ認メラレナイノデアル。
二進数「〇」 ・ 「一」 ノホカ
「〇一」両方ヲ同ジ立体三時限数トシテ使ウコトモ可トスル
量子コンピューターノ導入ヲ決定スルヨテイ。コウナルト我々トシテモ
イクラ「レス」シテモ ホストコンピューターガ眩暈メマイヲ 起コス
コトモナクナルデアロウ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
イカニモ支那ラシイ トハ思ッタガ私物モ
官物モ区別ナク取リ上ゲ私有スル態度、文化度ノ低サニ、又々コ
ヤツラニ負ケタノカ ノ屈辱ニ切歯扼腕、忍苦ノ限リニ「ブツブツ」
言イアッテイタ。トモカク種々アッテ四月三日、
引キ揚ゲ船ヘ転用ノ元海防艦 エトロフ号ヘ、実際ニ心身ノ痰ヲ
吐キツツ タラップヲフンダ。コノ日ノ恨ミト歓ビハ生涯忘レル
コトハナイダロウ。黄浦江ノ水ニ実際ニ唾ヲ 吐キツヅケタノハ私
バカリデハナカッタ。
甲板カラ揚子江トモ支那海トモミサカイノナイ水平線ヲ見ヤリナガラ
支那大陸デノ足カケ五年ノ歳月ヲ断片的ニ思イ浮カベテイタ。
戦死者ニ対シテ、コウシテ祖国ニ生キテ帰エロウトシテイルノガ
スマナイヨウナ思イガ迫ッテ、瞑目、別レヲツゲタ。
ギュウギュウ詰メノ船内ハ人イキレデ息苦シイ程デアッタガ、嘆息ト
歓喜ト疲労ガ交錯シテイタ。ソシテイツノ間ニカ敗残兵 然 呆ケテ
動ク者ハナクナリ、寝入ッテシマッタ。階級章ハタダ、軍服ニ付イタ
ママトイウダケダッタ。
昭和二十一年四月四日ノ昼過ギタ頃、博多湾ノ島々ヤ山ガ見エ出シ
皆 甲板ニ集マッテ声モナク目ノアタリノ祖国ノ山ヲ水ヲ町ヲ見タ。
船ノ近ヅクニツレテ緑ガ光ッテ、桜ノ花ノ並木ラシイノガ目ニ
見エテキタ。甲板ニ総出ノ中ニハ低イ唸リ声ノヨウナモノモアッタ。
刻々近ヅキツツアル博多ノ山波ヲミ呆ケテイタ。
皆 嘆息ノ声ノホカ モノ言ウ者モイナカッタ。乾イタ緑ノ少ナイ、
単調ナ大陸ノ風土ト違ッテ、祖国ニハ潤イノ美シサガアッタ。
単調ナ大陸ノ風土ト違ッテ、祖国ニハ潤イノ美シサガアッタ。
《復員、帰郷》
昭和二十一年四月五日午前八時頃、上陸準備
ヤガテ上陸開始トナッタ。検疫ハナカッタ。忘レラレナイノハ、
船カラ降リ桟橋ヲ降リ、祖国ノ土ヲ踏ンダトタン、桟橋下デ
米兵ガ個人用天幕ノ支柱ノヨウナ棒デ 一々尻ヲ叩キ
ナガラ人数ヲ数エテイタコトデアル。私ハソノ後モ、 何ガ
民主主義、人権尊重ノ国民ダ、動物ダッテアンナ数エ方ハ
シナイハズダ、獣以下ノ扱イダトイウ憤リヲ忘レラレナイ。
何百万ノ米兵ノ中ノ一人トハ思イナガラモ、許セナイデイル。
ココデ集合、召集解除、部隊解散ノ挨拶ガアリ、ソノ後
中隊モササヤカニ解散トナッタ。
『皆オ互イニゴ苦労サマデシタ。コレカラモ大変ダト思ワレルカラ、
皆 丈夫デ頑張ッテ下サイ。ナオ途中ノ都市モ焼ケ野ガ原ラシイカラ
気ヲ附ケテ無事ニ帰ッテ下サイ』。 コレダケハ言ッテオ互イニ敬礼
解散シタ。クタビレタ将校行李（コウリ）一ツ、図嚢ニハ復員名簿ト
関係書類、カンパン五日分ガ入ッテイタ。 階級章ハソノママニ
三々五々汽車ニ乗ッタラシイ、乗リ合ワセタノハ島根県出身ノ下士官
大阪、静岡ノ兵、東京ノ隊附キ少尉、兵ラ七人デアッタ。
引キ揚ゲ船ノ三日夜、海ニ放リ込マレタ准尉ノ話、戦犯容疑デ残サ
レタ憲兵ノ話、種々ノ話モアッタガ、ソレゾレ駅デ無事ヲ祈リ合イ
ナガラ下車シテイッタ。東京出身ノ隊附キ少尉ハ、静岡市出身ノ
伝令当番兵ダッタ兵ノ家ニ寄セテモラッテ、東京ノ家ノ様子ヲ調ベタ
イト降リテイッタ。
横浜、川崎、東京ハ戦場然トシテ焼ケテイタシ、汽車モ人モ
敗戦国然トシテ荒廃シテイタ。皆トゲトゲシイ顔ヲシテ生キテイタ。
東京駅付近ハ残ッテイタ。
上野駅デ高崎市出身ノ秋山中隊長ト一緒ニナッタ。イロイロ話シ
ナガラ汽車ノユレニ身ヲマカセテイタ。人々ノ生態（イキザマ）ハ・
ナガラ汽車ノユレニ身ヲマカセテイタ。人々ノ生態（イキザマ）ハ
見ナレテキテイタ。熊谷駅カ本庄辺ダッタト思ウガ、上州赤城・
榛名・妙義ノ山波ガ見エ出シタ時秋山サンノ前モ忘レテ泪ヲ
流シテイタ。左胸部貫通銃創ノ死線彷徨ノ瞬間ニ去来シタ
上州、故国ノ山波デアッタカラデアル。
昭和二十一年四月七日昼スギ高崎駅ヘ感慨一入デ降リタッタ。
木炭車ノ群馬バス ガ将校服ノ私ヲ戦犯扱イニシ、将校行李一個ノ
携行乗車ヲアカラサマニ拒否シタ。
ベラボウメエー、ト殴リツケタイ思イデ困ッテイルト、秋山サンガ
ソノウチ家カラ誰カ来ルカラ家ヘ置イテ行ケバト言ッテクレタ。
※秋山宅ハ高崎駅カラ四・五百メートル・・・
バスノ乗車係ガ「ソノ辺ニ置イテクレテモ・・」ト 言ッテイル
トコロヘ秋山サンノ家ノ者ガ来タノデ、依頼シ秋山サント歩キ、
秋山家ノ前デ再会ヲ約シテ別レ、私ハ家ヘ向カッテ歩キ出シタ。
烏川 本郷側ノ堤防沿イニ、文字通リ帰心矢ノ如ク歩キ続ケタ。
故郷山河ノ風景ノ懐カシサニ酔ウコト二時間半程デ、故里ノ駒寄
入リ口（関越高速道駒寄パーキングノアル地域）ニ達シ、将ニ
ヒタスラ駆ケルヨウナ思イデ、山谷沿イノ近道ヲ登リ、家ノ
垣道（カイドウ）口カラ庭ヘ入ッタ。
母ト祖父ガ庭デ里芋ノ種芋ヲ選ンデイタ。
母ト祖父ガ庭デ里芋ノ種芋ヲ選ンデイタ。
『帰ッタヨ！』 ト叫ビヲアゲタガ、祖父モ母モジットミツメテイル
ママデ無言デアッタ。後デ 母ガ幽霊カト思ッテ声モ出ナカッタト
言ッテイタガ、母ハヤガテ仕事ヲヤメ 手ヲ洗イ、泪ナガラニ
茶ヲ入レテクレタ。祖父モ茶ヲ飲ミナガラ
『帰レテヨカッタ、死ナナイデヨカッタ。オオゴトヲシタンベエ、
胸ノ傷痕ハ大丈夫カ』ヲ何度モ繰リ返シテイタ。
涙グンデイタ母モ呟クヨウニ
『帰レテヨカッタ』ト言ッテイタ。ヤガテ集マッテ来タ弟妹モ俯イタ
ママ言葉ハナカッタ。祖父ガ
『荷物ハ何モネエノカ』ト聞イタノデ、事情ヲ話スト
『誠二 ニデモ自転車デ持ッテキテモラウカ』ト ヒトリ言ノ
ヨウニ言ッテイタ。
荷物ハ翌日ノ夕刻、親戚ノ 誠二 君ガ持ッテキテクレタ。
復員ノ翌日ハ、祖母ノ墓参リ、産土社参リヲシ、一日モ忘レルコト
モナカッタ古里ノ部落、道、山川、空、風、緑等々ノ光景ヲ
心ユクマデ味ワイナガラ、親戚ヘ挨拶廻リシテ日暮レニ
帰ッタ。緊張ガトケタタメカ、左胸部貫通銃創ノ後遺症ノ熱発ト
マラリヤ熱ガブリカエシテキタガ、翌々日高崎市内ノ帰還者世話係ヘ
事務手続キニ行キ、名実共ニ復員帰還ガ完了シタ。
日中数千年来ノ歴史ノ中デ、
日中ニトッテ不幸ナ今度ノ戦争ガ何ホドノコトガアロウカトモ
思ワレル。シカシ ソウ思ッテシマッテハ、戦死シタ戦友ヤ生死ノ・
トモ 思ワレル。シカシ ソウ思ッテシマッテハ、戦死シタ戦友ヤ
生死ノ間ヲ彷徨シタ私自身ノ負傷ハドウナルダロウト、
空シサニ戸惑ッテシマウ。悠久ノ歴史ノアラユル個人ハ、所詮
渺タル存在ノ中ニ風化シ、翳（カゲリ）ヲ消シテユクダケダロウ
ケレド、ヒト族ダケハ、セメテ生存競争ノタメノ戦イニ殺シ合ウコト
ダケハヤメル賢サヲ、ヒタニヒタニ切望シテヤマナイ。
《著者 軍歴》
昭和十七年一月三十一日群馬県群馬郡室田下室田大森神社社頭
入隊壮行会
二月一日現役兵トシテ歩兵第一一五連隊（通称十五連隊）
補充隊（東部第三八部隊・東部三十八部隊・高崎市）第三大隊
第三機関銃中隊（真下隊）入隊 ☆陸軍二等兵
四月一日陸軍予備役幹部候補生 ☆陸軍一等兵
四月二〇日陸君予備役甲種幹部候補生 ☆陸軍上等兵
五月一〇日前橋陸軍予備士官学校第一機関銃中隊（妙義隊）入校
第一区隊（北群馬郡相馬村・桃井村）
七月一日☆陸軍伍長 九月☆陸軍軍曹
一〇月三〇日前橋陸軍予備士官学校卒業☆陸軍曹長
陸軍兵科（歩兵）見習士官ヲ命ゼラレ原隊復帰
（高崎東部三十八部隊）
一一月二三日北支派遣軍派遣内命
昭和一八年五月八日日本時間一三時一〇分頃山東省安邱県西利見付近ノ
戦闘・部落攻撃中 敵ノ小銃弾ニヨリ左胸部穿透性貫通銃創受傷
七月一日治癒退院帰隊
昭和一八年一一月現役満期 一二月☆任陸軍少尉
昭和二〇年八月一五日停戦詔書渙発、放送。部隊集結開始。
昭和二〇年八月二〇日☆任陸軍中尉。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
零戦ト共ニ 《関東上空邀撃戦（ヨウゲキセン）》
海軍 航空母艦搭乗員 飛行兵曹長（陸軍・准尉）白浜芳次郎
航空母艦瑞鶴搭乗員（六五三空搭乗員）
海軍飛行兵曹長（陸軍・准尉）白浜芳次郎
艦隊司令部ハ 航空母艦ヘノ発着ニヨリ制限ヲ受ケル艦上機ヨリモ、
全能力ヲ発揮デキル陸上基地用航空機スナワチ基地航空部隊ヲ
重要視シテ機動部隊ノ廃止ヲ計画シテイタ。
昭和二十年二月十日、日本海軍ハ 艦艇ハ特殊ノモノ
（大和、水雷戦隊一隊）ヲ残シテ全廃スルコトニナリ、第一航空戦隊ヲ
解隊シテ航空母艦ハ瀬戸内海ニ繋止シ、六〇一空ハ母艦航空部隊員ヲ
擁シテ基地航空部隊ニ変ワッタノデアル。
☆『敵機ノ胴体ニ穴ヲアケ風防ガラスヲ壊シタガ落チナイ』
六〇一空 、ココ松山海軍航空基地デハ、打チツヅク激戦ニ叩キノメ
サレタ艦隊航空隊再建ノタメ、三度目ノ編成ヲシタ六〇一海軍航空隊
ガ激シイ 高度ノ訓練ヲ展開シテイタ。
私ノ属シテイタ六五三空ハ、比島ニオイテ全滅ニ近イ損害ヲ受ケタ
タメ遂ニ解隊ノ悲運ニ会イ、新シク編成サレタ・ケイ・ローマ字
部隊ガ出撃シテユキ、一人取リ残サレタ私（零戦搭乗員）ハ、
同ジク艦隊航空隊タル六〇一空ノ再建ニ加ワルコトニ
ナッタノデアッタ。
コレハ最後ノ艦隊航空隊ノ編成デアッタ。
※六五三空ハ解隊シテ⇒七〇一空 （ケイ一〇三、ケイ一〇五ノ
彗星隊デ編成）
同ジク艦隊航空隊タル六〇一空ノ再建ニ加ワルコトニ
ナッタノデアッタ。
コレハ最後ノ艦隊航空隊ノ編成デアッタ。
※六五三空ハ解隊シテ⇒七〇一空 （ケイ一〇三、ケイ一〇五ノ
彗星隊デ編成）
第六〇一航空隊 戦闘第三一〇飛行隊 艦戦（零戦） 二四
攻撃第一飛行隊 艦爆（急降下爆撃機） 一二
攻撃第ニ五四飛行隊 艦攻（魚雷・急降下爆撃機） 一二
コノ編成ノ航空機デハ、大型空母一隻ノ搭載機数ヨリ少ナイ。
コレヲカバースルモノハ搭乗員ノ腕ヨリ外ニハナカッタ。
「質ヨリ量カ」「量ヨリ質カ」ソノコロ ヨクイワレテイタ問題デ
アッタ。シカシ「量ヨリ質」ヲトルコトヲ余儀ナクサレテイタ。
マリアナ沖オヨビ比島ニオイテ苦杯ヲナメテキタ生キ残リノ搭乗員
タチニモ、更ニ高度ノ腕ガ要求サレ、ソノタメニハ訓練ハ一層強烈ナ
モノトナッタ。 飛行場上空ニハ「グーン」ト 四機ノゼロ戦ガ
突ッコンデクル、続イテ四機、瀬戸内海デ母艦発着訓練ヲ
ヤッテキタ連中デアル。着陸スルト、日ニヤケタ別ノ搭乗員タチガ
指揮所前ニ整列シタ。
『発着艦訓練出発シマス』ソシテ搭乗員タチハ、イマ着陸シタバカリノ
零戦ニノッテ、訓練ニ出発シテイク。六〇一空戦闘機隊ハ、イマハ
唯一ノ艦隊戦闘機隊デアリ、ソノ再建ハ隊長 香取大尉ノ双肩ニカ
カッテイタ。発着艦訓練ニツヅイテ、沖合ニ淀泊（テンパク・
淀「ヨド」ンダ流レニ浮イテイルヨウニ停泊シテ）シテイル
母艦群ヲ目標ニ、銃撃・爆撃訓練モ行ワレ、
停泊シテイル 母艦群ヲ目標ニ、銃撃・爆撃訓練モ行ワレ、
編成以来二カ月目ニハ、ソノ成果ヲ見ルニ到リ、イツデモ母艦ニ
収容サレ出撃デキルコトトナリ、隊長ノ顔ニモ喜ビノ色ガ見エタ。
ソノ後六〇一空ノ戦闘機隊（零戦）ノミ岩国基地ニ移動シタ。
松山基地ハ各種飛行機ガ密集シテイテ、空中ハ錯綜シ、
訓練ニ支障ヲキタスニ到ッタカラデアル。
昭和二十年二月十三日 飛行偵察ニヨリ ウルシー環礁内ノ敵機動部隊
ガ姿ヲ消シテイルノガ判明シタ。⇒
※ウルシ環礁 西太平洋カロリン諸島ノ東北端、ヤップ島ノ
約百キロメートル東北東ニ アル環礁
第二次世界大戦時、日本軍ハ大戦初期ニ無線所ト気象測候所ヲ建設
シ、ウルシー環礁ヲ艦船ノ停泊地トシテ使用シタ。
昭和十九年ニハ アメリカノ空母ニヨル パラオ大空襲デ攻撃ヲ受ケ
タタメ、機雷ヲ敷設シテ放棄シ、九月マデニ撤収ヲ完了シタ。
⇒敵機動部隊ハ ドコニ来ルカ 作戦ハ開始サレタ。
基地航空隊トナッタ六〇一空ニモ作戦行動ガ指令サレタ。
基地航空隊トナッタ六〇一空ニモ作戦行動ガ指令サレタ。
「六〇一空ハ速ヤカニ全力香取基地（現千葉県匝瑳市ソウサシ
ト旭市ニマタガッタ基地）ニ移動スベシ」
第三航空艦隊ノ命令ハ六〇一空司令ニ伝達サレタ。六〇一空司令ハ
第一航空戦隊先任参謀トシテ手腕ヲフルッテイタ杉山大佐デアッタ。
杉山指令ハ岩国基地ノ戦闘機隊ニ対シテ、
「戦闘機隊ハ明十六日可動全力 ヲ以ッテ香取ニ進出セヨ」ト
指令シテキタ。ワガ戦闘機隊搭乗員タチハ腕ヲタタキ
『今度コソ叩キツブスゾ』 ト張リ切ッテイル。ソシテソレガ、ワレワレ
基地部隊トシテノ初陣トナッタ。
《関東上空ニテ》
昭和二十年二月十六日岩国基地ハ、手廻リ品ヲ詰メタ袋ヲ持ツタ
搭乗員デニギワッテイタ。ワレワレノ搭乗スル零戦ハ、整備員ノ手デ
飛行場ニ並ベラレ最後ノ試運転ガ行ワレテイル。指揮所ニワレワレノ
搭乗割ガデキテイル。私モ飛行服ヲツケテ搭乗割ヲ見ニ行ッタ。
ソノ時、奥海分隊長ガキテ、
『先任下士官、貴様コノ飛行機デ行ケ』ト、笑イナガラ飛行機番号ヲ
示サレタ。ソレハ性能ハ同ジダガ増槽（燃料タンク）ノ取リ付ケノ所
ノ型ガ ヤヤ旧式ナノデ増槽ガ取リ付カヌ飛行機デアッタ。
（スナワチ他ノ飛行機ハミナ増槽ヲ付ケテ燃料ハ充分持ッテ行カレ
ルノダガ、ソノ飛行機ハ翼内ノ燃料シカナイ）
ルノダガ、ソノ飛行機ハ翼内ノ燃料シカナイ）
私モチョイト考エタガ岩国基地カラ香取基地（千葉県匝瑳市
ソウサシ ト旭市ニマタガル基地） マデ飛ブダケナラ充分ダト
考エテ了解シタ。零戦準備完了、搭乗員ハ指揮所前ニ整列シタ。
香取隊長ハ号令台ニ立チ上ガリ
『本日タダ今ヨリ、香取基地ニ移動スル。情報ニヨレバ、敵機動部隊
ガ本土近海ニ接近シテイル模様デアル。会敵ノ算 大デアルカラソノ
ツモリデ行ケ』ソシテ
『カカレ』ノ号令デ ワレワレハ愛機ニ搭乗シタ。皆ハ小隊長トトモ
ニ編隊ヲ組ンデ行クノダガ、私ノ一機ダケ燃料ヲ節約シテ行ク特殊
配置ナノデ編隊ノ廻リヲツイテ行クコトニナッタ。
指揮官機ヨリツギツギト列線ヲ離レ、編隊ヲ組ミツツ離陸シテ行ク。
整備員ヲ始メ、岩国基地隊員ガ全員出撃見送リノ
『帽振レ』ヲヤッテイル。岩国基地滞在一ケ月目ニマタ
『サヨナラ』ダ。艦隊航空部隊ノ訓練編成ナドノ地トシテ、私ハ以前コ
ノ地ヲ訪レタ。ソシテ一カ月デ南方ニ進出シテイッタ。今度モ
一カ月デ移動デアル。
戦闘機隊ハ針路ヲ東ニ向ケ堂々編隊ヲ組ンダ。ワガ戦闘機隊ハ
「ブウ チャン（隊長）・・海兵同期生ノ間ノ呼ビ名」ノ愛称ヲ持ツ
香取隊長ヲ指揮官トシテ、ユウユウ 瀬戸内海ヲ飛ンデ行ク。
ノ呼ビ名」ノ愛称ヲ持ツ 香取隊長ヲ指揮官トシテ、
ユウユウ 瀬戸内海ヲ飛ンデ行ク。
私ノ機ハ、増槽ガナイノデ他機ヨリ速力ガ出テ、前ニノメッテ仕方ガ
ナイノデ編隊ノ廻リヲ「グルグル」 廻ッテイタガ、鳴尾飛行場ノ見
エル沖合イデ⇒
※鳴尾飛行場 兵庫県武庫郡鳴尾村（後ノ西宮市枝川町）ニ存在シテ
イタ海軍飛行場 川西航空機＝現・新明和工業ガ製造シタ軍用機ノ
試験飛行用飛行場モ兼ネテイタ。大東亜戦争後ハ
武庫川女子大学浜甲子園キャンパス ニナッテイル。マタ、
飛行場ノ管制塔ハ武庫川女子大学附属中学・高等学校内ニ
『芸術館』トシテ現存シテイル。
⇒二中隊長ノ四番機ガ「フラフラ」シテイルノデ、不審ニ思ッテ見ルト
前続機ノ（屁）後流ニ入イッテイルノデ近付イテ
『反対側ニ付ケ』ト合図シタラ、ナニヲ勘違イシタカ、
四番機（林二飛曹・後ニ神風特別攻撃隊第二御楯隊ニ参加戦死）ハ
鳴尾飛行場ニ単機変針シテシマッタ。私ハ『シマッタ』ト思ッテスグ
追イカケタ。私ハ単機ナノデ身軽ニ行動ガデキタカラ、スグ追イ付キ
『来イ、来イ』ヲシテ編隊ヲ組マセ、本体ニ合流シヨウト思ッタガ、
残念ナガラ本隊ヲ見失ッテイタ。コノ間約三分間クライデアッタガ、
反対方向ナノデ、十粁以上ノ差ヲ作ッテシマッタノデアル。
残念ナガラ本隊ヲ見失ッテイタ。コノ間約三分間クライデアッタガ、
反対方向ナノデ、十粁以上ノ差ヲ作ッテシマッタノデアル。
『仕方ナイ、二機デ行ケ』ト、ツブヤキナガラ、マタ東ヘノ旅ヲ続ケタ
鈴鹿ヲ越エ、伊勢湾ヲ過ギ、浜松モ過ギ、箱根八里モ空ヲ行ケバ
一足飛ビデ、平塚上空デ、ワガ旅モイマ少シ ト見張リヲシナガラ
飛ンデイル。前方藤沢方面ニ『パッ』ト 「三ッツ」ホド高射砲ノ
黒煙ガ見エル。
『敵ガイル』ト直感シテ後上方ヲ見タ。ワレワレノ戦イ ノ庭ハ
広イガ、敵味方トモ、相手ヲ倒ス一番ヤリヤスイ所ハ後上方攻撃デ
アル。後上方ニ敵ハイナイ。後下方ニ目ヲヤッタ。スルトソコニ
グラマン 二機ガワレワレ二機ヲ追跡シテクルノガ目ニハイッタ。
『オイデナスッタナ』 眼ハグラマンヨリ離サナイ。ダガ、手足ハ
戦闘準備ヨリ反撃体勢ニト行動シテイル。二番機ノ 林機モ
ヤッパリ年ハ若イガ艦隊ノ伝統ヲ持ッテイル。一番機ノ邪魔ニ
ナラナイヨウ反対側ニ切リ換エシテ、戦闘準備ヲシテイル。
二対二、シカモワレワレハ優位デアル。戦闘ハ四分六ノ勝ダ
ト思ッタトキ、敵モサルモノ、後下方ヨリノ隠密接敵不可能、
シカモ態勢不利ト知ルヤ、得意ノ対零戦対策ノ「ダイブ遁走」ト
オイデナサレタ。残念ナガラグラマンニ ダイブサレタラ、ワガ
増槽無シノ零戦デハ追撃不可能デアルバカリデナク、
私ノ機モ燃料ガ残量デ僅カデ自滅ノ外ハナイノデ、・・・
追撃不可能デアルバカリデナク、 私ノ機モ燃料ガ残量僅カデ
自滅ノ外ハナイノデ、燃料補給並ビニ状況確認ノタメ、付近ノ
厚木飛行場ニ着陸ヲ考エタ。厚木上空ニ達シテ見ルト、本隊ノ
零戦隊モ着陸姿勢ニアル。ワレワレモ 一ショニ着陸シテ本隊ニ
合流シタ。状況ハ今朝ヨリ、米機動部隊ニヨル波状攻撃中デ
アルトノコトデアッタ。早速戦闘準備デアル。編隊ハデキ上ガッタ。
私ハ一中隊二区隊長トシテ列機三機ト共ニ、指揮官 香取隊長直率ノ
下ニ戦闘参加デアル。飛行帽ノ下ニハ 日ノ丸ノ鉢巻ヲ
ミンナシメテイル。搭乗員整列、体調ヨリ作戦命令、戦闘要領、
注意事項ガアッタ。 ソノ間内地上空トイエドモ敵機ガ乱舞シテイ
ル戦場デアル。 タダ今ヨリソノ戦場デ雌雄ヲ決シヨウトスルノニ、
隊長ノ態度、音声ハ平素ノ訓練ノ時ト同ジデアル。
『ナルホド ワレワレノ隊長ハデキガ違ウゾ』・・ ト。
・・ワレワレノ二番機トナッタ 長 一飛曹モ艦隊搭乗員トシテ南方
デ共ニ闘ッテキタ戦友デアル。隊ニオイテモ人気者デ、マタ困難
ナ戦場ニオイテモ「ニコニコ」シテ勇敢ニ闘ウ人デアッタ。
『カカレ』ノ号令デ各自愛機ニ向カッタ。指揮官機ヨリツギツギ発進
高度ヲトル。編隊ハ戦闘隊形ノママ、立川、所沢ナド陸軍飛行場ヲ眼
下ニ北上シタ。二中隊ガヤヤ遅レテイル。雲間ニ敵機数機ヲ発見シタ
『来ルカ』ト見守ッタガ コナイ。ワガ方ハ高度ガ低イ・・・
遅レテイル。雲間ニ敵機 数機ヲ発見シタ。
『来ルカ』ト見守ッタガ コナイ。ワガ方ハ高度ガ低イ。隊長ノ
率イル一区隊ハ ハルカニ離レテイル。ワガ隊ダケダ。
『ヨシヤルゾ』 私ハ高度ヲトッタ。同高度ダ。距離八千米・メートル
列機ニ合図ヲシタ。列機ガ近ズク。二番機 長一飛曹ハ「ニコニコ」
手ヲ振ッテイル。三・四番機ノ緊張シタ顔ガ見エル。無理モナイ。
彼等ハ初陣ノ若者デアル。変針、接敵運動ニハイル。
突然、眼前ニ高射砲ノ炸裂ヲ見タ。陸軍高射砲陣地ノ誤認ニヨル
味方射撃デアル。マダ、味方ニヤラレタクハナイ。急旋回デ
回避シタ。ソシテマタ北上、群馬 上空ヨリ霞ケ浦上空ヲ通過
香取基地ニ向ワント霞ケ浦上空ニクルト グラマン二機右前方ヲ
反航シテクル。
『ヨシヤレ』合図トトモニ変針 接敵シタ。敵モワレワレヲ発見シタ。
第一撃ヲ反航戦デ開始シタ。敵ヲ単機ニ分離シタ。第一撃ハ成功ダ。
味方モ二機ヅツニ分離、二対一デヤルノダ。二・四番機ノ方モ二対一
デヤッテイル。長 一飛曹ガイルカラ安心ダ。敵グラマンモナカナカ
優秀デアル。私ハ三番機ニ射撃サセルタメ、ソノヨウナ空戦ニ
ツトメタ。 三番機ハグラマンノ後方ニ追尾シタ。私ハ見守ッテ
イル。 三番機ハナカナカ撃タナイ。残念ナガラ四分六デグラマンノ
方ガ腕ハ上デアル。 三番機ハマタ追尾ニハイッテイル。私ハ
見守ル。・・・。 三番機ハ追躡カラ（ツイジョウ・追ッテツイセ
キシテイルコト）カラ離レタ。機銃ガ故障ノヨウダ。・・・
ツイセキシテイルコト）カラ離レタ。機銃ガ故障ノヨウダ。・・・
私ハスグ グラマンニ追尾シタ。ナルホド 上手ダガ巴戦デハ
零戦ノ敵デハナイ。機銃ヲ撃ツ。二十粍弾ガ グラマンニ吸込マレテ
行ク。胴体ニ大キナ穴ガアク。風防ガラスヲコワス。 ダガ、
落チナイ。急所ニ当タッテイナイノダ。数回撃ッタガ落チナイ。
距離ハ三十ナイシ五十米クライダカラヨクワカル。翼ニモ大キナ穴
ガアイテイルガ ヤハリ落チナイ。私ハアセッタ。マタ 射ツ 当タ
ル。落チナイ。マタ射ッタ コンドハ『シュウ』ト燃料ヲ吹イタ。
グラマンハソノママ下ニツッコンデ行ク。
『ヤッタカナ』ト確認ノタメ切リ換エシタトタン、「バラバラ」ト曳光
弾ガ飛ンデキタ。弾道ヲ回避シツツ見ルト。グラマン一機後下方ヨリ
射ッテクル。機銃弾ハ左翼ノ横五米クライノトコロニ集中シテイル。
横滑リデ回避スルヨリ手ガナイ。時間ニシテ二十秒クライダロウカ
随分長イ時間ノヨウナ気ガシタ。ソシテ、ソノママ グラマント反航
シテ、マタ反航戦トナッタガ、コレデ
『助カッタ』トイウ『ホット』シタ気持チハ否定デキナイ。反航戦ト
ナルト零戦ノ敵デハナイ。一回、二回反航戦ヲ行ウ。
『グイ』ト廻リ込ム。追尾ニ入ル。グラマンハ右ニ左ニ逃ゲ廻ルガ、
追尾シタママダ。照準ハヨシ、一撃ヲ加エル。二十粍弾ガ吸イコマレ
テ行クガ ヤハリ落チナイ。『駄目ダ、』 第二ノ攻撃ノタメ・・
一撃ヲ加エル。二十粍弾ガ吸イコマレテ行クガ ヤハリ落チナイ。
『駄目ダ、』 第二ノ攻撃ノタメ照準ヲツケル。今ヤ射撃杷柄ワヘイヲ
引カントスル刹那、眼前ヲ曳光弾ガ飛ブ。右ニ切リ換エシテミルト
グラマン ガ打ッ（原著モ打ッ）テキテイル。前方ノグラマンハ態勢
ヲ整エテ反撃シテクル。二対一、先刻ト反対ダ。四対二ノ優勢カ
ラ、今ハ二対一ノ劣勢トナッタ（コレハ後デワカッタコトダッタ
ガ、列機三機トモ機銃ガ故障ノタメ引キ上ゲテシマッタノデアル）
二対一ノ劣勢デモ、私ハ五分五分（ゴブゴブ）デ戦ウ自身ヲ
持ッテイル。グラマン ハ早クコノ ウルサイ零戦ヲ落トソウト、
空戦空域ヲセバメテクル。空戦空域ガセマイトイウコトハ旋回
性能ノ良イ零戦ニハ有利デアル。私ハ巴戦ニマキ込ミツツ
グラマンヲ見ルト、二機トモ被弾ノアトガアル。
『スルト先程撃墜シタ』ト思ッタ グラマンハ撃墜デキナカッタノダ。
『ヨシ、今度コソハ』トソノ一機ニ照準ヲツケ発射杷柄ワヘイヲ引イ
タガ弾ガ出ナイ。 マタ引イタ。・・ヤハリ弾ガ出ナイ。モウ
全弾ヲ射ッテシマッタラシイ。仕方ガナイ。
『肉弾攻撃』トバカリ『肉迫ヲココロミタ』ガ、・・零戦ノ意気ニ恐レ
ヲナシタカ、敵ハ「逃走」シダシタ。
私ハ逃ゲル奴ニ無理ニ体当タリヲヤル必要ヲ認メナイノデ、ソノママ
香取基地ニ引キ上ゲタ。着陸スルト整備員ガ駆ケ寄リ
『敵トヤリマシタカ』ト、問ワレ『思ワズ顔ガ赤クナッタ。』・・・
『敵トヤリマシタカ』ト、問ワレ『思ワズ顔ガ赤クナッタ。』
『アレダケ打チコンデ（原著モ打チコンデ）落チナカッタコトハ
残念ナコトデアッタ。』香取基地ニハ佐藤大尉ノ率イル四機ガ
来テイタ。 私ト五機トナッタ。私ノ愛機ハ二発ノ機銃弾ヲ
クッテイタ。私ハ佐藤大尉ニ戦闘報告ヲ行ッタ。
『グラマン 二機撃破』トダケ・・・・。ソシテ待機命令デ愛機ノ
ソバニツカレヲヤスメタ。モノノ五分トタタヌ内ニ
『三機基地上空哨戒』ノ指令デ佐藤中隊長ノ三機ハ飛ビ立ッタ。後ニ
ハ学徒出身ノ張リ切リボーイ尾関中尉ト私ト二機デアル。
『残ル二機上空哨戒』ノ指令下ル。直チニ残ル二機モ飛ビ立ツ。私ハ
二番機トシテ戦闘隊形ノママノ上昇ヲヤッテイルト、一番機ノ速度ガ
遅イ。敵ガクルトイウノニ「フラフラ」シテイタラ「ヤラレル」⇒
※戦闘体形 三機編隊 一、二、三機ハ三角形ヲ維持 飛行中周囲ト
揃ウダケデモ手間ガカカル。戦闘ガ始マレバ単機戦闘ニ移ル。
アメリカハ、対零戦体形デ一撃離脱戦法ノシヤスイ二機・二機ノ
四機編隊
⇒バカリ ト、増速シテ前ニ出タ。残念ナガラ一番機ハマダ実戦ノ経験
ガナイノデアル。実戦ニオイテハチョットノ隙ヲツクッテモ味方ノ敗
ケニナル。ソシテ私ハ一番機ノ位置デ哨戒ヲ行ッタ。・・・・
私ハ一番機ノ位置デ哨戒ヲ行ッタ。
ソノママ「地上ヨリノ合図」アルマデ上空哨戒ヲ行イ、地上ニ降リタ
昭和二十年三月十六日ハソノママ地上待機デアッタ。香取基地ニハ
岩国ヨリノ後続隊モ加ワリ十数機ノ戦闘機ガ集マッタ。心配シテ
イタ私ノ列機モ二機到着シタガ、三番機 薬師寺二飛曹ハ、ソノ後
グラマント遭遇、空戦戦死テシマッタ。ヤガテ地上待機モトカレ、
ミンナ兵舎ニ引キ上ゲタ。明クレバ十七日、総員起コシ。外ハマダ
暗イ。整備員ハ邀撃準備ニ、搭乗員ハ指揮所ニ集合ノタメ
三々五々飛行場ニ向カッタ。指揮所ニハ香取隊長以下 士官ノ顔ガ
見ラレル。暗イ飛行場デハ 整備員ガ試運転整備ニ余念ガナイ。
『整備完了』 整備分隊長カラ指揮所ニ報告サレル。邀撃編隊ハデキタ
キョウハ佐藤大尉指揮ノ第二中隊第二区隊二番機デアッタ。
午前六時十五分、第二中隊ハ上空哨戒ノタメ飛行場ヲ発進シタ。
第一区隊ハ飛行場ノ西側、第二区隊ハ東側ノ哨戒デアル。高度四千
第二区隊ハ戦闘隊形（三機編隊）デ哨戒シテイル。
発進ノ時地上ハ薄暗カッタガ、上空ハ明ルイ朝ヲ迎エテイタ。空ハ
一面ノ雲デ視界ガ悪イ。所々ニ断雲ガアル。哨戒機ハ時々雲ノ中ヲ
通過スル。モットモ見張リノ具合ノ悪イ時デアル。手先カラモ足首カ
ラモ寒サガ身内ニ沁ミ込ンデクル。二月中旬ノ夜明ケハサスガニ・・
手先カラモ足首カラモ寒サガ身内ニ沁ミ込ンデクル。
二月中旬ノ夜明ケハサスガニ寒カッタ。「ジッ」ト哨戒ヲ続ケル
ワレワレノ手足ハ感覚ヲ失ウホドデアッタ。二区隊ハソノ
ママ受ケ持チ時間ヲ続ケテ着陸シタ。トコロガ、第一区隊デハ
敵機ト空戦シテイタ佐藤中隊長ガ墜トサレタトイウノデアッタ。
二区隊ハ全然敵ヲ見ナカッタ。マタ、一区隊ノ戦闘モ知ラナカッタ
ノデアル。奥海二区隊長ハ顔ヲコワバラセ
『申シ訳ケナイコトヲシタ』ト語ッテオラレタ。
《沖縄航空決戦》スレ交ウタビニ グラマン搭乗員ト顔ヲ
見合ワセタ。
昭和二十年三月二十九日ワガ三一〇戦闘機隊モ鹿児島国分基地ニ展開ヲ
命ゼラレ、紫電戦闘機隊彗星艦爆隊トトモニ、勇躍茨城県百里原基地
ヲ飛ビ立ッタ。⇒⇒
※局地戦闘機『紫電』好性能ノ水上戦闘機『強風』ヲ陸上局戦ニシタ
モノガ紫電デ、車輪ノ引キ込ミヲ便ナラシメル為、中翼ヲ低翼ニシタ
モノガ紫電改デアル。
乗員 一
エンジン 中島 誉 空冷複式星型十八気筒一千九百九十馬力
全幅十一、九九メートル 全長九、三四六メートル全備重量 四トン
最大速度 時速五百九十五キロメートル
実用上昇限度一万七百六十メートル（紫電改一万二千百メートル）
武装 二十ミリ機関砲四挺 二百五十キログラム爆弾二発
生産機数 一千九機（紫電改四百十六機）
※彗星艦上爆撃機（彗星改）乗員二 エンジン三菱金星六二空冷複式・
https://anago.5ch.net/test/read.cgi/welfare/1441750123/
命ゼラレ、紫電戦闘機隊彗星艦爆隊トトモニ、勇躍茨城県百里原基地
ヲ飛ビ立ッタ。⇒⇒
※彗星艦上爆撃機（彗星改）乗員二 エンジン三菱金星六二空冷複式
星型六二十四気筒千五百六十馬力 全幅十一、五六メートル 全長
十〇、二二メートル 善美重量三、七五トン 最大速度
時速五百七十四キロメートル 実用上昇限度一万五百メートル
航続距離八百二十〜千五百七十二キロメートル 武装七、七ミリ
機銃二 七、九ミリ機銃一 五百キロ魚雷一生産機数
彗星全機数デ二千二十七機
⇒⇒ツイ一カ月半バカリ前、関東ニ飛来、邀撃戦ヲ行ッタワレワレハ、
沖縄ニ来ルデアロウ敵ヲ求メテ、マタ西ヘノ旅ヲ続ケタ。途中
鈴鹿山脈ノ天候悪化ニワザワイサレ、明治基地ヲ（愛知県碧海郡
明治村 現安城市東端町・根崎町ニ存在シタ大日本帝国海軍ノ
飛行場）ヲ発進シテ西ニ向カッタ。向カッタ国分基地ハ「花ハ霧島、
煙草ハ国分、燃エテ上ルハ桜島」ト歌ワレタ鹿児島ニ面スル国分ノ
町ニアッタ。当国分基地ハ隠密飛行場トシテ敵機動部隊ヲタタクヲ
目的トスルタメ、邀撃戦ハ行ワズ、専ラ敵機動部隊ノ発見ニ全力
ヲ傾注シテイタ。
https://anago.5ch.net/test/read.cgi/welfare/1442312377/
邀撃戦ハ行ワズ、専ラ敵機動部隊ノ発見ニ全力ヲ傾注シテイタ。
昭和二十年四月三日敵攻略部隊ハ沖縄本島ニ上陸作戦中デ、敵機動部隊
ハ沖縄ノ南北ニ位置シ、九州オヨビ台湾ヨリ攻略部隊ニ対スルワガ
空中攻撃ヲ阻止スル体制ヲトッテイタ。コノ沖縄ノ北ニ遊弋スル
敵機動部隊ノ所在ガ、ワガ索敵機ニヨリ発見サレ、報ジラレテキタ。
直チニ作戦ハ計画サレ戦闘機隊四十機ヲ前路掃蕩隊トシテ進発セシメ
続イテ彗星艦爆十九機ヲ攻撃隊トシテ進発セシメルトイウノデ
アッタ。満ヲ持シテ待機シテイタワガ三一〇戦闘機隊ニ掃蕩命令ガ
発令サレタ。
『搭乗員整列』 思イ思イ ノ考エヲ胸ニ、搭乗員ハ整列シタ。
司令杉山大佐ヨリ戦況並ビニ行動命令ガ出サレタ。指揮所前ニハ
テーブルガ出サレ、六〇一空沖縄作戦初ノ攻撃ヲ祝ッテ御神酒ガ
用意サレテイル。杉山指令ノ音頭デ聖寿ノ万才ヲ三唱、ソシテ祝イ
ノ酒ガ汲ミ交ワサレタ。
飛行場ニハ零戦ガ列線ヲ取リ準備サレテイタ。整備員タチハ
「コマネズミ」ノヨウニ飛ビ廻リ、試運転ニ余念ガナイ。コレラ
三一〇戦闘機隊整備員タチハ、ハワイ沖以来ノ艦隊決戦ニ、マタ
ラボウル（ラバウル）ニ、敵弾雨下ヲ戦ッテキタ強者デアリ、零戦
ノ整備ニカケテモ自他トモニ許シタ名整備員タチデアッタ。ソシテ
ワレワレ搭乗員ハ彼ラノ整備シタ零戦ニハ、無条件デ身ヲ託ス
コトガデキタ。・・・・
コトガデキタ。彼ラハ作戦ガ始マルト、兵舎カラ食器、毛布ナドヲ
持チ出シ、零戦ノ翼ノ下デ食事ヲトリ、マタ眠リ、埃リト汗ニマミ
レテ、懸命ニ飛行機ニ取リ組ンデイタ。
彼等ハ作戦ガ終ワルマデハ決シテ宿舎ニ帰ロウトハシナカッタ。
マタ自分ノ受ケ持チ機ガ出撃シテ帰ルノヲ楽シミニシ、受ケ持チ機ノ
上ゲタ戦果ヲ自分ノ戦果ノヨウニ喜ビ自慢シテイタ。
受ケ持チ機ガ帰ッテコナイト、共ニ出撃シタ搭乗員タチノ間ヲ駈ケ
廻リ安否ヲ確カメ自分ノ責任カノヨウニイツマデモ飛行場ニ立ッテイ
タノヲ私ハ シバシバ見カケタ。
愛機ニ搭乗シタ私ハ、試運転ヲヤッテ見タ。調子ハ上々、機体整備員
滝 一整曹（静岡県出身）ヲ見タ。彼ハ自信ノホドヲ顔ニ見セ、ウナ
ズイテイル。出撃準備ノデキタ私ハ静カニ隊長機ノ出発ヲ待ツ。
『突然』、滝 一飛曹ガ機体ニ飛ビ上ガッテキテ飛行帽ヲ引ッ張リ
『オ土産ヲ頼ムゼ』、ト背中ヲ 一ツ ドヤシテ降リテイッタ。
彼ハ私ニ立派ナ戦果ヲ上ゲルヨウニ、マタ無事デ帰ルコトヲイイニ
キタノデアルガ、上手ナ口ヲキクヨウナ彼デハナカッタ。マタ私モ
彼ノ「イワン」トシテイルコト ワカルヨウナ仲間デアッタ。
≪三機撃墜≫
隊長機ガ列線ヲ離レタ。一中隊発進。二中隊発進。三中隊発進。
私ハ今日ハ三中隊二区隊長トシテ攻撃ニ参加デアル。
零戦隊ハ列線ヲ離レ離陸地点ニ向カウ。・・・
https://anago.5ch.net/test/read.cgi/welfare/1443184621/
零戦隊ハ列線ヲ離レ離陸地点ニ向カウ。
次々見事ナ編隊離陸シタ戦闘機隊ハ上空ニ集合シタ。
零戦二十六機、紫電戦闘機五機、堂々薩南諸島ヲ南下シタ。上空ニハ
巻雲ガ静カニ流レ、太陽ノ直射カラワレワレヲ守ッテクレテイル。
ワレワレノ目ノ届ク限リ、見張リノ邪魔ヲスル雲一ツナイ絶好ノ
見張リ日和デアル。編隊ハ緊密体型デ進撃ヲ続ケル。遥カ左ニ種子島
屋久島ガ見エル。薩南諸島ノ島々ヲ飛ビ石ノヨウニ南下シタ。
奄美大島ガ見エテキタ。 見張リハ益々厳重ニ行ワレタ。奄美大島ノ
隣ニアル 喜界ケ島 ニ白煙ガ上ガルノヲ見タ。爆撃ニヨル白煙ダ。
私ハ自分ノ経験デ直感シタ。
『敵ヲ見タラマズ後方ヲ』 コレモ私ノ経験デアル。
『敵ヲ落トス時ハ自分ガ落トサレル番デアル』 トヨク先輩ニ注意サレ
マタ自分デモ苦杯ヲナメタコトガアッタ。後方ヲ確カメタ私ハ目ヲ
皿ノヨウニシテ喜界ケ島ノ上空ヲナガメタ。
『イルワ、イルワ ティー・ビー・エフ艦爆約三十機ガ』 喜界ケ島ニ
アル ワガ航空基地ニ対シ爆撃中デアル。
※ティー・ビー・エフ艦爆 乗員三 （操縦士・無線士・砲塔射撃手）
全長十二、四八メートル全幅十六、五一メートル全備重量七、四五トン
千七百馬力エンジン最高速度時速四百九キロメートル武装二千ポンド
（九百七キログラム）魚雷一或イハ二百二十七キログラム爆弾四
十二、七ミリ機関銃前方二 後方一 七、六二ミリ旋回機銃腹部一
ヨルト鈍重ト言ウ感想
私ハ目ヲ皿ノヨウニシテ喜界ケ島ノ上空ヲナガメタ。
『イルワ、イルワ ティー・ビー・エフ艦爆約三十機ガ』喜界ケ島ニ
アルワガ航空基地ニ対シ爆撃中デアル。シカモ、ナメタコトニハ
「高度千メートル位デ『爆撃ノ練習中デス』」 トイッタヨウニ
二機ヅツニナリ単縦陣デ急降下爆撃ヲ悠々トヤッテイル。
私ハ直チニバンク、列機ヲ集合サセ指デ示シタ。ソシテ機銃ヲ
発射シタ。シカシアワテル必要ハナイ。敵ハワレワレヲ見付ケテハイ
ナイ。マタ攻撃ヲカケラレル心配モナイカラデアル。各機トモ敵ヲ
見ツケタ。機銃ヲ発射シテ隊長ニ知ラセル者、イキリタッテ前ニ
飛ビ出シ編隊ニモドル者、隊長ト並行シテ一緒ニ飛ビ込ムツモリ
ノ気ノ早イ者モイル。
シカシ、隊長ハ高度四千ノ進撃高度ノママ進ンデ行ク。奄美大島ノ
北端ヨリ五カイリ（約九キロメートル）クライデ隊長機ノ増槽ハ
落トサレタ。零戦隊ハ一斉ニ増槽ヲ投下シタ。二十数個ノ増槽ハ
一団トナッテ落チテ行ク。
敵ハマダ気付イテイナイ。隊長機ハ静カニ「バンク」『翼ヲ振ッテ
合図ヤ指示ヲスルコト』、続イテ滑リ込ムヨウニ突撃ニ移ッタ。
続イテ列機ハ一段トナッテ ティー・ビ−・エフノ頭上ニ釣瓶落トシ
ト『真ッ逆サマニ』ナッテ襲イカカッタ。高度三千、高度二千、、
https://potato.5ch.net/test/read.cgi/welfare/1450587285
ト『真ッ逆サマニ』ナッテ襲イカカッタ。高度三千、高度二千、
敵ハ気付イタ。敵ノ編隊ハ崩レタ。雲（蜘蛛・クモ）ノ子ヲ散ラシ
タヨウニ四方八方ニ散ッテ行ク。隊長機ハ ティー・ビー・エフノ
先頭ニ攻撃シテ行ク。零戦隊ハ中隊ゴトニマトマリ攻撃ヲカケテ
行ク。私ハ後尾ニイタティー・ビー・エフヲ追ッタ。
距離七百メートル。零戦ハ高度四千カラ降下ニ入ッテイルカラ凄イ
勢イデ近ズク。距離五百。距離四百。ソノトキ一機ノ飛行機ガ
ティー・ビー・エフノ上ニ覆イカブサッテキタ。見ルト
シコルスキー ダ。⇒⇒
※シコルスキー 艦上戦闘機 乗員一全長十、一六メートル
全幅十二、四九メートル主翼折リ畳ミ式総重量五、四八トン
二千馬力エンジン最高速度時速六百七十一キロメートル
実用上昇限度一万一千メートル 航続距離三千四百キロメートル
武装十二、七ミリ機関銃六爆装ノ場合爆弾九百キログラム〇、九トン
⇒⇒彼ハテイー・ビー・エフノ直掩機デアッタノデアロウカ。
ティー・ビー・エフ・・、 危ナイト見タ彼ハ、自分ノ身ヲ張ッタノダ。
敵ナガラ天晴レナ搭乗員デアル。
シカシ、翼ノ二十ミリ機関砲弾ハ シコルスキーニソソガレタ。
ソシテ彼ハ音モナク落チテ行ッタ。勇敢ナ シコルスキーヲ
落トシテイル中ニ、テイー・ビー・エフハ逃ゲテシマッタ。・・
https://potato.5ch.net/test/read.cgi/welfare/1461959989/
落トシテイル中ニ、テイー・ビー・エフハ逃ゲテシマッタ。
ココデワガ戦闘機隊ハ誤算ヲヤッテイタ。敵ハ ティー・ビー・エフ
トバカリニ、一斉ニ攻撃ニハイッタガ直掩戦闘機ガイル上空ガ
危ナイ。私ハ急上昇シタ。トイウノハ、直掩戦闘機ハ被掩護機ノ
上ニイルモノデアル。ソレヲ知ラズニ ティー・ビー・エフニバカリ
攻撃ヲカケテイルト、敵戦闘機ニ上カラタタカレ全滅トイウコトニ
ナッテシマウ。
高度三千ヲ取リ返エシタ私ハ、奄美大島ノ方ヨリ上昇シテクル
グラマン四機ヲ発見シタ。宿敵グラマンノ 左後上方ヨリ突撃シタ。
機体ヲヒネリ軸線ヲ合ワセタ。 照準ハ先頭ノ一番機ニツケタ。
翼ノ二十ミリハ発射サレタ。手応エガアルト思ウ間ニグラマンハ右
ニ傾キソノママ真ッ直グニ落チテ行ク。残ル グラマンハ私ノ腹ノ
下ニモグリコンダ。私ハ機首ヲ上ゲ急上昇シタ。
敵ハ速力ヲツケルツモリカ機首ヲ下ゲテイル。
高度差四百メートル モウ一撃ト思モウ私ノ眼ノ前ニ零戦一機ガ
グラマンニツカレ、右ニ左ニ切リ換エナガラ逃ゲテクル。
私ハ直チニ、零戦ヲ追ウグラマンニハ遠イ、ト思ッタガ二十ミリヲ
発射シタ。「当タラナクテモヨイ」「落トセナクテモヨイ」
零戦ガ助スカレバ良イノデアル。・・・
https://anago.5ch.net/test/read.cgi/welfare/1441750123/
「当タラナクテモヨイ」「落トセナクテモヨイ」 零戦ガ助カレバ
好イノデアル。 零戦トグラマンノ中間ニ機銃弾ヲ射チ込ミ流シタ。
「チカ」ト胴体ニ光ヲ発シタト同時ニ、グラマンハ右ニ切リ換エシ
逃ゲテ行ク。
『ヨシ助カッタ』ト思ウ私ノ頭上ヲ、グラマンガ通過、左前方ニ出ル。
距離約五十、私ハ思ワズ『冷ヤッ』トシタガ、宿敵グラマンハ私ニ
気付カナカッタノデアロウカ、
『サァ ドウゾ』トバカリニ私ニ尻ヲ向ケテイル。私ハスグ切リ
換エシテ グラマンノ右後方カラ二十ミリヲ打チ込ンダ。
「パッ」ト グラマンハ火ヲ吹イタ。私ハ グラマンノ右後方カラ下ヲ
クグッテ左側ニ通過シタ。機番号五十四トハッキリ白ク見エル。
火ハ搭乗員ヲ取リ巻イテイル。搭乗員ガ必死ニ風防ヲ開ケヨウト
シテイル。私ハ三機目撃墜トバカリニ次ノ敵ヲ求メ見張リヲ続ケタ。
次ノ瞬間、グラマンニ追尾サレテ巴戦ヲヤッテイル零戦ヲ発見、
私ハ直チニ反転近付イタ。
巴戦デハ味方射チニナル恐レガアル。近付クダケ近ズイテ射撃シタ。
グラマンハ新タナ零戦ニ驚イテ逃ゲテシマッタ。
遥カ下方ニ グラマン七、八機ニ追ワレテゼロ戦ガ逃ゲ廻ッテイル。
『ハッ』ト思ウ瞬間火ヲ吹イテ落チテ行ク。
零戦二機 グラマンニ追尾、二十ミリ機関砲弾ヲ撃チ込ンデイル。・
『ハッ』ト思ウ瞬間火ヲ吹イテ落チテ行ク。
零戦二機 グラマンニ追尾、二十ミリ機関砲弾ヲ撃チ込ンデイル。
零戦ニ追尾シタ グラマンヲ追ッテ射撃シテイル零戦。
『生ト死』トノ闘イハ最高潮デアル。
グラマン一機右前方ヨリ突進シテクル。私ハ右ニ旋回、ソシテ
グラマンノ下ニモグリコム。グラマンノ十三ミリ機銃弾ハ頭上ニ
集中サレテイル。私ハ横滑リ状態デ モグリコンダ。
グラマンハ私ノ方ヲ見ナガラ頭上ヲ通過、切リ換エシテクル。
私モ切リ換エシタ。互イニ顔ヲ見テ反転、スレ違ウ時 グラマンノ
搭乗員ノ顔ガ見エル。
二回、三回 五回、六回反航ハ続ク。マダ互イニ射撃ハデキナイ。
グラマンモ相当ナ強者ト見エテ零戦ト同格ノ空戦ヲシテクル。
『好敵手』、 私ハソウ思ウト同時ニ
『ナニクソ 負ケルモノカ』ト切リコム。 グラマンモ 切リコン
デクル。反攻戦ノママ仲々勝負ハツカナイ。力ハ五分 秘術ヲ
ツクシテ 力 ノ限リ 二機ハワタリアッタ。
『力ヲ抜イタ方ガ負ケニナル』 『食ウカ食ワレルカ』 死闘ヲ堂々ト
続ケテイルトキ、 グラマンニ火ガ散ッタ。グラマンハ機首ヲ・・
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続ケテイルトキ、 グラマンニ火ガ散ッタ。グラマンハ機首ヲ
下ニ向ケ降下シテ行ク。ソノ後ヲ一機ノ零戦ガ追尾シテ二十ミリ機銃
ヲ射チ込ンデ行ク 。 グラマンハ無抵抗ノママ火ヲ吹イテ落チ
テ行ッタ。 好敵手グラマンノ操縦員ハ第一撃デヤラレタノデハ
ナイカ。アッケナイ最後デアッタ。
私ハ全身汗デ ビッショリニナッテイタ。相当ナ 力 ヲ使ッテイタ
ノデアロウ。汗ヲヌグウ暇モナク、敵ニ追ワレテイル零戦ガ目ニ
入ッタ。私ハ急降下 肉迫、敵ニ 二十ミリヲタタキコンダ。
グラマンハ白煙ヲ吹イタ。 ソノ時二十ミリハ「ピタッ」ト止マ
ッテシマッタ。引キ金ヲマタ引イタ。弾ハ出ナイ。全弾 射チ尽ク
シテシマッタ。 グラマンハ白煙ヲ 吹キ吹キ 逃ゲテ行ク。
残念ダガ仕方ガナイ。私ハ高度ヲ上ゲ、空戦場ヲ上空カラ眺メ
息ツイタ。勝敗モ決シタ。
『空戦終了、空戦終了、集合セヨ、集合セヨ、奄美大島北端ヨリ
十海里（浬）［十八、五キロメートル］』ヲナンドモ繰リ返シナガラ
見張リヲ続ケテイタ。
約千メートルクライデ零戦トグラマンガ空戦ヲヤッテイル。見タ所
四分六 デ零戦ガ危ナイ。 私ハ弾丸ガナイトイッテ高ミノ見物ヲ
シテイル訳ニハイカヌ。ナルベク私ノ機ガ見エルヨウニ近付キ
敵ニ救援ノ零戦ガ来タル・・ト思ワセテ助ケルヨリ手ハナイ。・・
私ノ機ガ見エルヨウニ近付キ敵ニ救援ノ零戦ガ来タル・・ト思ワセテ
助ケルヨリ手ハナイ。
私ハ、グラマンニ見エルヨウニ攻撃態勢デ近付イタ。グラマンハ
作戦通リ ダイブニ入リ遁走シダシタ。零戦ハ グラマンヲ追イ駈ケ
ヨウトシテイルノデ、私ハ全速デ彼ノ前ニ出テ「バンク」ヲシタ。
彼ハ私ニ近付キ編隊ヲ組ンダ。
見ルト私ノ二番機トナッテイタ佐藤上飛曹デアッタ。激闘十七分デ勝敗
ハ決シタノデアル。編隊ヲ組ンダ佐藤上飛曹ノ尾翼ニハ大キナ穴ガ開
イテイル。シカシ彼ハソノヨウナコトニハ目モクレズ一機撃墜ノ
手先信号ヲ送ッテクル。彼ノ顔ハヨロコビニカガヤイテイタ。
飛行場ニハ若イ整備員ニ交ワリ、滝 一整曹ガ悠々ト私ノ帰リヲ
待ッテイタガ、ソノ眼ニハ安堵ノ色ガ見エテイタ。
私ハ左指三本デ、オ土産ヲ知ラセタ。カレハ、『ニッコリ』トウナズキ
機上ニ飛ビ上ガッテ私ヲダクヨウニシテ地上ノ人ニシテクレタ。
掃蕩隊ハツギツギ帰投シテクル。指揮所前ニハ杉山司令ガ特徴ノアル
山羊ヒゲヲ撫デナガラ「ニッコリ」笑ッテワレワレノ帰エリヲ
待ッテイタ。帰還シタ搭乗員ハツギツギ戦果ヲ報告シタ。撃墜・撃破
十八機以上ト作戦劈頭 初ノ凱歌ヲアゲタガ、
ワガ方ノ搭乗員モ未帰還八名ヲ数エテイタ。
≪桜花ノゴトク≫＊私ハアキラメテ敵ノ撃ッテ来ルノヲタダ見テイタ＊
☆ 平賀二飛曹ノ出撃
昭和二十年四月六日九州南部航空基地ニ展開、前哨戦ヲ行ッテイタワガ
航空部隊ニモ、菊水作戦ガ発令サレ、本格的ニ米・沖縄攻略部隊ニ
対シ第一回空中総攻撃ガ行ワレタ。満ヲ持シテ待機シテイタ特攻機ハ
桜花咲ク故国ヲ後ニ爆弾ヲシッカリイダキ敵艦ニ突入シテイッタ。
当国分基地ニ展開シテイタ特攻隊ハ、胸ニ 五百瓩（キログラム）爆弾
ヲシッカリト イダキ、桜花ヲ打チ振リ打チ振リ基地ヲ飛ビ立ッタ。
マタ、コレラ特攻隊ノ梅雨払イトシテ、各航空基地ノ戦闘機隊ハ
掃蕩隊トシテ出撃シテ行クノデアッタ。
翌四月七日モ引キ続キ作戦ハ実施サレタ。
コノ日ワガ三一〇戦闘機隊モ掃蕩隊トシテ作戦ニ参加シタガ、
途中天候不良ノタメ敵発見ニ到ラズ帰還シタ。マタコノ日、
日本海軍最初デアリ最後トナッタ水上特攻ヲ編成シ出撃シタ。
旗艦大和以下十隻ノ艦艇ハ堂々出撃シタガ、敵艦載機ノ攻撃ニヨリ
アッケナク鹿児島沖ニソノ姿ヲ消シテシマッタ。
コノ菊水作戦ノ猛攻ニヨリ敵機動部隊ハ一時南下シテ所在ヲ
クラマシテイタガ、四月十一日ニ到リ、ワガ索敵機ノ
発見スルトコロトナリ、特攻隊ハ出撃シテイッタ。コノ日私タチハ
指揮所裏ノ待機所ニ待機シテイタトコロ、私ノ四番機トシテ
訓練シテイタ 平賀二飛曹ガ私ノトコロニカケテキテ、
『先任下士官、特攻攻撃ニ行ク事ニナリマシタ』トイッテ・・
『先任下士官、特攻攻撃ニ行ク事ニナリマシタ』トイッテニコニコ
シテイル。私ハ四番機ダケ行ク訳ガナイト思ッテ相手ニ
シナカッタ。シカシ彼ハ出撃準備ニカカッテイル。不審ニ思ッテ
指揮所ニデカケタ。彼ノ言葉ハ本当デアッタ。搭乗割ニハ桂中尉以下
ノ編成ガ イマ私ノ中隊長茂木中尉ノ手デカカレテイル。私ハ少ナ
カラズ驚イタ。『コンナ馬鹿ナ編成ガアルカ。』 一番機タル
私ヲソノママニシテ四番機ダケ持ッテ行クトハ。 私ハ思ワズ顔色ヲ
変エテシマッタ。ソノ時 茂木中尉ガ、
『先任下士官、平賀二飛曹ハ貴様ノ列機ダガ俺ノ隊員デモアル。貴様
モ苦シイガ貴様以上ニ俺モ苦シイ我慢シロ。我慢シロ。編成ハデキテ
シマッタカラ次ノ機会マデ待テ』トイウノデアッタ。
私ハマタ機会ヲ逸シテシマッタノダ。 私ガ苦シイ以上ニ中隊長（コノ
時ノ中隊ハ 八機編成デアル）ノ方ガマダ苦シイノダ。コノ次マデ
『待トウ』ト 私ハ諦メトモツカヌ結論ヲ下シタガ、心ノ内ハ
苦シカッタ。シカシ平賀二飛曹ハ生々トシテ私ニ
『ドノ コースヲ進撃シタラ安全デ確実ニ敵ヲ発見デキルカ、』マタ
『体当タリハドノヨウニシタラヨイカ、角度ハドノクライガヨイカ』
『敵ガドノクライニ見エタトキ攻撃ニハイッタラヨイカ』ナドト
尋ネテクルノデアッタ。
私ガ、カッテ水上機搭乗員トシテ爆撃ノ経験ガアルトイウコトヲ知ッテ
ヲ知ッテイタ 彼ハ、私ヲ信頼シテ私ノ言葉ヲ待ッテイタ。
私ハ 彼ダケヲ出撃サセルコトニハ賛成デキナイノデ、
気分的ニモホガラカニナレナカッタ。 マタ普通ノ攻撃法ナラ
イクラデモ教エラレルガ、私ノイッタ通リ 体当タリスルトイワレルト
私ノ口モ自然重クナッテクル。ソノ私ヲ 彼ハナグサメ、地図ノ上ニ
「コース」ヲ、ナン本モ入レ、敵戦闘機ノ待機シテイソウナ場所、
敵機動部隊ノ位置、付近ノ天候、マタ体当タリノ場合空母ハドコ、
戦艦ハドコ、角度ハドノクライ、速力ハドノクライ カナド次々ト
書キ入レ、準備ヲシタ。 死地ニ今ヨリ出テ行ク者ガ残ル者ヲ励ゲマス
トイウ反対ノ立場ニナッテシマッタ。
『攻撃隊員整列』 桂中尉以下四名ハ整列シタ。
彼 ノ愛機ニハスデニ 二百瓩・キログラム爆弾ガ装備サレテイタ。
彼 ハ爆弾ニ近付キ撫デナガラ
『頼ムゼ ウマク爆発シテクレヨ』ト
戦友ニ話カケルヨウナ態度デアッタ。整備員タチノ
『頑張レ』 『シッカリ頼ム』 ノ声ニ励マサレ機上ノ人ニナッタ
彼 ハ、桜花ヲ指デ示シ、私ヲ見テ「ニッコリ」笑ッテイタ。・・・
『頑張レ』 『シッカリ頼ム』 ノ声ニ励マサレ機上ノ人ニナッタ
彼 ハ、桜花ヲ指デ示シ、私ヲ見テ「ニッコリ」笑ッテイタ。
トモニ 出撃シタ爆装機ハ、途中 グラマント空戦トナッタガ
平賀 二飛曹機ハソノママ突入シテ征ッタトイウ コトデ、
遂ニソノママ還ラナカッタ。
《怒リト恐怖ト》
昭和二十年四月十二日、菊水二号作戦発動 敵沖縄攻略部隊ニ対シテ
第二回総攻撃ガ決行サレ、特攻隊員ハ火ノ玉トナッテ敵陣ニ飛ビ
込ンデ征ッタ。
ワガ三一〇戦闘機隊員モ次々ト爆装機トナリ マタ制圧攻撃ニ出撃シ、
隊員モ半数ヲ欠ク状態トナッテイタ。
四月十六日菊水三号作戦ガ発動セラレ、敵沖縄攻略部隊ニ対シテ
第三回空中総攻撃ガ決行サレ、コノ作戦ガ容易ナラシメルタメ、
敵機動部隊ニ対シ特攻作戦ヲ行ウコトトナッタ。
国分基地展開中ノ戦闘機隊ハ今日モマタ制空隊トシテ出撃スルコトニ
ナリ、飛行場ニハ零戦ガ出サレ出撃準備ヲシテイル。・・
ナリ、飛行場ニハ零戦ガ出サレ出撃準備ヲシテイル。
指揮所前ノ搭乗割ニハ制空隊員ノ名前ガ出サレテイルガ、ワレワレノ
隊長ノ香取大尉ノ名前ガナイ。ソシテ三〇八戦闘機隊ノ隊長ガ
指揮官トシテ名ガ出サレテイタ。三〇八、三一〇両 戦闘機隊ノ
混成部隊デ、主力ハ三〇八戦闘機隊デアッタ。制空隊員ハ出撃準備ヲ
シテイル。 ワガ隊長香取大尉ハ、一人指揮所前ニ立ッテイル。
私ハソバニ歩ミヨッタ。 隊長ハ私ヲ見ルト
『先任、今日ハ我慢シテ征（イ）ッテクレ』ト 淋シソウニイウノ
デアッタ。
『制空隊員整列』搭乗員ハ整列シタ。ソシテ 型 ノヨウニ出撃命令ガ
出サレタ。制空隊員ハ愛機ニ搭乗シタ。
私モ 撃墜マーク ヲツケタ愛機ニ搭乗シタ。⇒
※撃墜マーク 日本軍デハ、陸海軍トモニ、「撃墜記録ハ部隊単位デ
公式記録ニスル」決マリナノデ撃墜マークヲ記載スル風習自体ガ、
大東亜戦争末期マデ ホトンドナカッタ。
変ッタノハ、本土防空決戦ガ始マッテカラト言ウコトニナル。
部隊内ノ「絵心ノアル」整備兵ニヨッテ描カレテイタ。タイヘン絵柄モ
複雑ナノモ描イテアッタ。図案ハ戦闘機ヤ爆撃機デ爆撃機ニハ、
爆弾マデ重ネテ描イテアルモノモアッタ。
⇒一斉ニ発動機ハ発動サレタ。滝一整曹ハ相変ワラズ、
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見セテイル。準備完了指揮官気ハ静カニ発進シタ。キョウハ
四中隊奥海中尉ノ二番機デアル。奥海中尉ハ病ノタメ本隊ニ残留シテ
イタガ、国分ノ戦闘ヲ聞キ注射ヲシナガラ無理シテ昨日
百里基地ヨリ飛来シタノデアッタ。ソシテキョウノ作戦ニ参加スルト
イウ張リ切リヨウデアッタガ、マダ熱ヲオビタ顔色デアル。一中隊、
二中隊、続々制空隊ハ発進。離陸地点ニ地上滑走シテ行ク。
残ル隊員、整備員カラハ『頑張レ』 『戦果ヲ上ゲテ来イヨ』
『シッカリヤレ』ナド 思イ思イノ手旗信号ヲ送ッテクル。指揮所前
ニハ杉山司令ノ横ニワレワレヲ見送ル香取隊長ノ姿ガ見エル。
離陸地点ニ向カッタ指揮官機ハ爆音高ク発進シタ。列機ガアワテテ続ク
ツギツギ単機離陸ヲヤッテ行ク。ワガ四中隊ノ番デアル。離陸地点ニ
八機ハ集合シタ。奥海中隊長ハ列機ヲ見テ右手ヲ上ゲタ。彼ノ手ガ降リ
タラ発進離陸デアル。隊員ハ中隊長機ヲ見ツメル。
『右手ハ降リタ。』 八機ハ一斉ニ発動、四中隊ハ編隊ノママ
「グングン」速力ヲ増シ、一斉ニ地面ヲ離レタ。「ポッカリ」空中ニ
浮イタ四中隊ハ、高度ヲトル。ソシテ指揮官機ニ近付ク。
シカシ指揮官機ノ周リニハ二中隊、三中隊ノ隊形モナク、「バラバラ」
ニ零戦ガ群集シテイル。・・・
ニ零戦ガ群集シテイル。四中隊 二区隊ガ「バラバラ」ニ飛行場ニ
降リテ行ク。発動機ノ故障カ。制空隊ハ上空ヲ一周シタガ隊形ガ
トレナイ。二周シテヤット体形ガトレタ。マズイ集合法ダ。ヤット集合
シタ制空隊ハ南ヘ針路ヲトッタガ、大名行列ノヨウナ？細長イ隊形ヲ
トッテイル。四中隊ハ殿リ・シンガリ中隊デアルタメ体系ガヨクワカル
私ハ他隊ト出撃シタノハ始メテデアルガ、モットモ マズイ隊形デアル
指揮官ガ違ウト、コウモ違ウモノカト思ッタ。制空隊ハ
九州南端ヲ過ギル。屋久島、種子島ヲ左ニ見テ進撃スル。今日モ雲ノナ
イ見張リ日和ダ。高度四千、隊形ハ大名行列ノママ進撃スル。
ワガ四中隊ハ四機トナッタガ殿リ・シンガリ中隊デアルノデ後方ノ
守備ハワレワレノ 責任デアルトトモニ、戦闘ニ突入シタ場合ハ上空
支援トシテ空戦上ノ上空ニ展開、見方ヲ援ケ・タスケ、マタ敵ヲ撃滅
スル任務ニアッタ。前方ニ奄美大島ガ見エテキタ。奄美大島ノ上空ハ
断雲ガ点々ト見エル。ワガ四中隊長 奥海中尉ハ病ヲ推シテ出撃デアル
熱ノアル眼ハ見張リノキカヌモノデアル。私ハ二番機トシテ一番機ヲ
補佐スル任務以上ニ見張リヲ続ケタ。小サナ喜界ケ島ガ見エテキタ。
太陽ハ燦々ト輝イテイル。私ハ紫外線除ケノ色眼鏡ヲカケタ。
制空隊ノ右前方ニ黒点三ツ、『敵ダ』 『グラマン ダ』 グラマンハ
上昇シテイル。私ハ早速電話デ『警戒警戒、右三十度、敵グラマン・
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上昇シテイル。私ハ早速電話デ『警戒警戒、右三十度、敵グラマン
三機ト報ジタ。ト同時ニ 一番機ニ近寄リ グラマンヲ指サシ知ラセタ
四中隊ハ警戒体形カラ戦闘隊形トナッタ。敵グラマンハ「ダンダン」
大キクナリ格好ガワカルヨウニナッテキタ。指揮官機ニ
敵グラマンノ方向ヲ知ラセテイルヨウダ。シカシ、指揮官機ハ悠々ト
飛ンデイル。大名行列ハ奄美大島上空ニ達シタ。グラマン三機ハ制空隊
ノ大名行列ニ廻ワリコンデクル。二、三中隊モ発見シタラシク「チョッ
カイ」ヲダスガ反撃ニ出ナイ。一中隊ハ右ニ旋回シタ。続イテ二中隊、
三中隊モ旋回スル。グラマン三機ハ廻ワリコミナガラ攻撃ノ機会ヲ
ネラッテイル。一中隊ハ帰投進路ニ入ッタ時奄美大島古仁屋上空ニ
敵機ヲ発見シタ。敵ノ本隊ダ・・。スルト、アノ三機ハ上空直衛機ダ。
私ハ電話ヲ送信ニ切リ換エ、敵発見ヲ報ジタ。グラマン三機ハ依然廻リ
コミ、隙ヲネラッテイル。一中隊ニ続キ 二、三中隊ハ帰投進路ニ
入ッテイル。私ハ、怒リニ燃エタ。敵航空部隊ガイル。宿敵グラマン、
シコルスキー デハナイカ。ソシテ上空直衛機ガ攻撃体形デ制空隊ノ
後ロニ廻リコンデイルトイウノニ、指揮官機ハ「悠々」ト帰途ニツイ
テイル。コノママ、指揮官機ニ従ッテ基地ニ帰投スルコトガデキルカ。
ワレワレノ任務ハ貴重ナ燃料ヲ使ッテ タダ奄美大島マデ大名行列
ヲスルノデハナイ。敵グラマント闘イ制圧シ、特攻隊ノ進撃ヲ容易ニ・
ヲスルノデハナイ。敵グラマント闘イ制圧シ、特攻隊ノ進撃ヲ容易ニ
スルタメニ出撃ヲシテキタノデアル。私ハ増槽ヲ捨テタ。隊形モ指揮官
モナイ。敵グラマンニ 二機ハ突撃シテ行ク。一、二番機モ増槽ヲ
捨テテ グラマンニ突撃シテ行ク。零戦四機デハカナワヌト思ッタノ
デアロウカ、敵グラマンハ反転南ヘ逃ゲテ行ク。私ハ怒リニ燃エテ進撃
シタガ、グラマンノ「逃ゲ」足ノ早サニハカナワナイ。私ハフリ返リ
一、三番機ヲ見タ。一番機ハバンクヲシナガラ反転シテ行ク。
本隊帰ルツモリナノデアロウ。私モ追撃ヲアキラメ四番機トトモニ反転
シタ時、グラマン 二機下方ニ発見シタ。私ハ獲物ヲ追ウ猟犬ノヨウニ
突撃シタ。瞬間、一、三番機ハ本隊ヲ追ッテ行ク。
四番機ハ私ニツイテクル。私ハ敵一番機ニ追尾シタ。翼ノ二〇粍ハ発射
サレタ。二十ミリ弾ハ敵ノ胴体ニ吸イ込マレテ行ク。グラマンノ二番機
ハ驚イテ私ニ反撃シテクル。ワタシハ二番機ノ反撃ヲカワシ一番機ニ
撃チ込ム。二番機ハ反転シテクル。私ハ切リ換エシテ マタ一番機ニ
撃チコム。発動機付近カラ白煙ヲ吹イテ高度ヲ下ゲテ行ク。
『ヨシ』私ハ敵二番機ニ攻撃目標ヲ換エタトキ グラマン三機急援ニ
キタ。私ハ『ハッ』トシタ。深追イシスギタノダ。四対二、ヤルカト
四番機ヲ見タ。四番機ハ五十米・メートル後ニツイテクル。グラマンハ
ワレワレニ反撃セズ白煙ヲ吹イタグラマンヲ中心ニ編隊ヲ組ンデ引キ上
ワレワレニ反撃セズ白煙ヲ吹イタグラマンヲ中心ニ編隊ヲ組ンデ引キ上
ゲテ行ク。私ハ下ヲ見タ。奄美大島、喜界ケ島ハ遥カ後方ニ見エル。
私ハ グラマン隊ノ集結シテイル空域ノ中ニ突入シテイルノカモシレ
ヌト思イ見張リヲ続ケタトキ、右下方シコルスキー 一機発見、
私ハ直チニ攻撃ニ入ッタ。翼ノ二十ミリハ火ヲ吹ク シコルスキーハ
音モナク落チテ行ク。左ニ敵 グラマンノ反航スルノヲ発見シタ。私ハ
切リ換エスグ急上昇シタ。トツゼン、愛機ハ ウナリ ヲ立テテ飛ン
デクル機銃弾ニ囲マレテシマッタ。私『ハッ』トシテ機銃弾ノ飛ンデ
クル方ヲ見タ。グラマンガ一機、上昇姿勢デ撃ッテクル。愛機ハ急上昇
シテイタノデ速クハナイ、『フラフラ』シテイテ、急激ナ操縦ハデキナ
イ。『万事休ス』。一瞬慌テタガ、人間『アキラメガカンジン』カ。
私ハアキラメテ敵ノ撃ッテクルノヲタダ見テイタ。グラマン ハ
『宙ブラリン』ノ格好ヲシテ射チ上ゲテクル。『ガンガン』翼ニ胴体ニ
敵ノ 十三ミリ機銃弾ガ当タル。振動ガ出テキタ。私ノ心ハ澄ンデキテ
怖イトモ、恐ロシイトモオモワナイ。アタリガ明ルク奄美大島ガ、
喜界ケ島ガハッキリト美シク見エル。敵グラマンモ点々トシテ見エル。
追尾シタグラマンハ依然撃ッテクル。ツイテイルト思ッタ四番機ハ、
ドコニイッタカ見エナイ。前方遮風板ニ一弾ガ当タル。ガラスノ破片ガ
身体ニ当タル。遮風板ノ半分ガ微塵ニ吹ッ飛ンデシマッタガ私ハ・・
遮風板ノ半分ガ微塵ニ吹ッ飛ンデシマッタガ私ハ相変ワラズ見テイル。
コレガ最後ト思ッタ心ニハ怖イナドトイウモノハ感ジナイノデアロウ。
突然、グラマンハ射撃ヲヤメ反転逃ゲテ行ク。多分上昇姿勢ノママ射撃
ヲシテイタノデ失速ニナッタノデハアルマイカ。
私ハ『助カッタ』ト思ッタ。トタンニ『ブルッ』ト身体ガ震エ怖イトモ
恐ロシイトモ形容デキナイ臆病ナ心境ニナッテシマッタ。アタリハ薄闇
ノヨウニナリ、美シク見エテイタ奄美大島ハ見エナクナリ、点々ト
見エタ グラマン隊モ見エナイ。私ハ四方八方見タガ何モ見エナイ、
暗ヤミ中ニイルヨウダ。コウナッテ来ルト、戦ウナドトイウコトハ毛頭
考エニモ及バナイ。トイッテ逃ゲル道モワカラナイ。私ハ心ノ平成ヲ
失ッテシマッタノデアル。タダ私ハ四方八方暗ヤミノナカヲ見張リ、
夢中デ飛ブダケダッタ。 天ノ助ケカ 右前方ニヤヤ白ク明ルク見エル
場所ガアル。チョウド井戸ノ中カラ夕闇ノ外ヲ眺メタヨウデアッタ。
私ハ夢中デ突進シタ。ソシテトンダ。ソノコロニナッテ私ハ心ノ平静ヲ
取リ戻シツツアッタ。白ク明ルク見エル場所ト見タノハ雲デアッタ。
私ハ断雲ニ飛ビコンダノデアッタ。断雲ヲ出タ私ハ拭ウヨウニ心ノ
平静ヲ取リ戻シ奄美大島モ喜界ケ島モ見エル。敵グラマンモ見エル。
シカシ戦闘意欲ハトミニ薄ライデイタ。私ハ一機西ヘ飛ンダ。奄美大島
ヲ後ヘ、東シナ海ニ出タ。ソシテ北ニ針路ヲトリ帰途ニツイタ。・
ヲ後ヘ、東シナ海ニ出タ。ソシテ北ニ針路ヲトリ帰途ニツイタ。
ドコヲヤラレタノカ知ラナイガ機体ハ『ガタガタ』振動ヲツヅケテイル
私ハ機体ヲ見廻シタ。前方遮風板ガ半分吹キ飛バサレ、直接風圧ヲ顔ニ
受ケテイル。翼ニモ胴体ニモマタ尾翼ニモ弾痕ガ見ラレル。機体ハ
振動ヲ続ケテイルガ、発動機ハ好調ニ廻リ続ケテイル。私ハ薩南諸島ヲ
右ニ見テ帰投スベク北ニ進路ヲトッタ。残ッタ遮風板ニハ オイルガ
点々トツイテイル。私ハ残ッタ遮風板ニ顔ヲカクシ風圧ヲ避ケ見張リヲ
続ケタ。遠ク屋久島、種ケ島ガ見エテキタ。九州南端モ見エテキタ。
桜島ハ静カニ噴煙ヲ上ゲテイル。ソシテ例ノ如ク低空デ九州ニタド
リツキ、、。 鹿児島上空ニ「殺気」ヲ感ジタ。眼ヲコラシテ見ルト
グラマンガ見エル。『サアッ』ト戦闘意欲ニカラレタガ、機体ハ振動
ヲ続ケテイル。私ハ空中分解ヲ恐レ。コノ グラマンヲ避ケルタメ左ニ
旋回、九州西海岸ニ出テ西方ヨリ基地ニ近付イタ。基地上空ニハ零戦
ノ姿ガ見エル。私ハ基地上空ヲ一周着陸シ列線ニ向カウ。
滝一整曹ガ夢中デ駈ケテクル。ソシテ滑走中ノ愛機ノ翼ノ上ニ飛ビ上ガ
リ『大丈夫カ』ト座席内ヲ見廻ワシテイル。平素ノ悠々タル態度モ忘レ
タカノヨウデアッタ。列線ニツイタ私ハ発動機ヲ止メタ。シカシ私ハ
座席カラ出ル気力モナク滝一整曹ニ抱キイダカレ地上ノ人トナッタガ、
立ッテイルコトモ出来ズ座リ込ンデシマッタ。整備員タチハ愛機ノ弾痕
立ッテイルコトモ出来ズ座リ込ンデシマッタ。整備員タチハ愛機ノ弾痕
ヲシラベテイル。遮風板ニ一発、ソノ前方ニ一発、左翼ノ燃料タンクト
燃料タンクノ間約十五糎（センチ）位ノ間ニ二発、胴体及ビ尾翼ニ、
計十二発ヲ発見シタ。敵機銃弾ハ愛機ニ照準ヲ合ワセテ飛ンデキタガ
一発モ急所ニハアタッテイナカッタノデアッタ。指揮所前ニ出テ隊長
香取大尉ガワレワレノ帰リヲ待ッテイル。制空隊ハ指揮官以下殆ンド
帰ッテイタ。シカシ奥海中尉以下三名ハマダ帰ッテイナイ。制空隊ハ
整列シ指揮官ハ報告ヲシタ。ソレニヨルト制空隊ハ奄美大島マデ進撃、
敵ヲ発見セズ帰投中、鹿児島上空デ敵ノ奇襲ヲ受ケタトイウノデ
アッタ。シカシ指揮官機ノ列機ハ敵ヲ発見、指揮官ニ知ラセテイルト
イウ。マタ私モ見テイル。マタ所属中隊モソレゾレ戦闘ヲシテイル
ノデアッタ。指揮官ニ属スル 某上飛曹ハ、『彼（カ）ノ隊長ノ下
（モト）デ闘ウノハイヤダ涙ナガラ』ニ語ッテイタ。某上飛曹ハ優秀・
ラ』ニ語ッテイタ。某上飛曹ハ優秀ナル搭乗員デ戦果モ相当ナモ
ノデアッタ。四中隊長機奥海中尉機ハ私ト別レテ後、本隊ニ合流、帰還
途中、鹿児島湾上空デ敵機ト交戦壮烈ナル戦死ヲ遂ゲタ模様デアル。
マタ私トトモニ追撃シテ闘ッタ四番機ハ、新タナ グラマンヲ発見、
攻撃シテ私トワカレテシマッテイタノデアルガ、他ノ基地ニ不時着シ後
ニナッテ国分基地ニ帰投シタ。ソノ後、爆装攻撃ニ、掃蕩制空攻撃ニ
奮闘ヲツヅケタワガ三一〇戦闘機隊ハ、ソノ大部分ノ搭乗員ヲ失ッテ
イタ。ソシテワレワレノ戦闘ハ終了シタ。残存搭乗員ハマタ百里基地
ニ帰リ新タナ再建ニカカルコトニナッタ。
昭和二十年四月十七日最前線基地ヲ零戦四機ガ静カニ飛立ッタ。
沖縄ニ散ッタ戦友タチト トモニ去ル三月末 百里原基地ヲ飛ビ立チ、
堂々ノ翼ヲ連ネ飛来シ戦機熟シタ沖縄ニ攻撃ヲカケ、大イニ
母艦戦闘機隊ノ真価ヲ発揮シタ三一〇戦闘機隊ハ四機ノ零戦トナッテ
シマッテ、イマ国分基地ヲ離レタノデアッタ。
昭和二十年五月飛行兵曹長・（陸軍ノ陸軍准尉） 七月 敵ノ本土攻略
ニ対応スル戦力ヲ温存スルタメ、戦闘三一〇飛行隊ハ鈴鹿基地ニ
配置サレ訓練ニ入ル。
昭和二十年八月十五日隠忍（インニン）ノ日々ヲ送ッテイタ戦闘機隊ニ
総攻撃ノ命令ガ入ルガ勇躍発進ノ直前ニ中止終戦。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
日本撃墜王 厚木三〇二部隊 海軍中尉 赤松貞明
一九二八年（昭和三年）佐世保海兵団四等水兵（二等水兵）昭和七年
十七期操縦練習生（坂井三郎・三十四期生、岩本徹三・三十五期生）
昭和十六年下士官・飛曹長 後大日本帝国ノ間ニ、准士官・特務士官
大日本帝国海軍中尉ト進級
☆赤松ノ戦後
赤松ハ戦後モ大元気デ大空ヲ飛ンデ廻ッテイタ。
昭和二十八年春、赤松ハ旧陸海軍ノパイロット等ト協力シテ
資金ヲ出シ合イ、「社団法人西日本軽飛行機協会」ヲ設立、 アメリカ
製軽飛行機パイパー・ペイサーヲ三百九十万円デ購入。
南風号ト名付ケタ。
「南風号」ト名付ケラレタ コノ飛行機ハ香美郡日章村、日章飛行場跡
ノ一部ヲ利用シ運用サレタ。 タダ当時ノ日章飛行場ハ野放シ状態デ
メーン滑走路ハホトンド使エズ エプロンダケヲ使用シタ。
赤松ラハ暇サエアレバ滑走路ノ草抜キ。
※香美郡日章村・・高知県香美郡ニアッタ村現在ノ南国市ノ
南東端ニ位置シタ。
赤松ノ操縦スル南風号ハ大イニ活躍。遭難船発見ニ四度貢献シタ。
足摺沖デバルブ船（安全航行ヤ海上工事ノ安全ヲ支エル船）ガ遭難シタ
折ニハ、赤松ハ捜索ニ飛ビ 絶望的トモ思ワレタガ船体ヲ発見。
思ワレタガ船体ヲ発見。必死ニ デッキニシガミ付イテイル乗員ヲ
視認スル。コノ出来事ヲ赤松ハ『嬉シカッタネ。空中戦デ死ニ損ナッタ
ノヨリ嬉シイモンダ』 ト目ヲ細メテ回想シタ。
昭和三十年五月十一日 瀬戸内海デ百七十三人ノ犠牲者ヲ出シタ宇高
連絡船「紫雲丸」遭難事故デハ転覆船ノ上空カラ取材レポートヲ敢行。
コノ日ハ豪雨デ飛行許可ノ出ルヨウナ天候デハナカッタガ、赤松ハ
飛行場ノ老人保安要員ノ目ヲ盗ンデ、離陸ヲ強行シ 現場ヘ飛ンダ。
『雨ナンテモノジャアナカッタ水ノ中ヲ這ッテイルヨウナモノダッタ』
ト語ッテイル。
終戦直前ノ日本上空デノ戦歴・履歴
第三〇二海軍航空隊配属後ノ一九四五年（昭和二十年）二月十七日、
厚木基地上空ヲ局地戦闘機雷電デテスト飛行中、突如飛来シテキタ
エフ六エフ戦闘機四機ト交戦シ、コノスベテヲ撃墜。マタ同年五月
二十九日ニハ横浜市街上空デ ピー五十一戦闘機七十五機ニ単機
戦闘ヲ挑ミ、アメリカ陸軍撃墜王ルーファス・ムーア ヲ見事撃墜シタ
一見無謀ナ行動ヲ好ム、バカノヨウニ誤解サレヤスイガ、空戦デ一度モ
撃墜サレタコトハナク、負傷シタコトスラナカッタ。独特ノ空戦理論ヲ
持チ、部下ニ対シテハ米軍機ヘノ深追イヲ強ク戒メタ。
虐待薬害死刑スタッフ以外ニグループマイナス経常ケタチガイ
異常介護保険税金泥棒マダ殺ッテマス
森友ノロウイルス焼肉嘔吐虐待スイッチ押死耶手ゲローン戦争ソンポ部死テルン盗難
郡大老害モヤシテ違反重々ヤット麻薬王振戦ストレス足ダシ爆発公害山口炉ウドモヤンキーノ種死ネ世
https://potato.5ch.net/test/read.cgi/welfare/1450587285
ノ空戦理論ヲ 持チ、部下ニ対シテハ米軍機ヘノ深追イヲ強ク戒メタ。
赤松ガ零戦デ撃墜シタ ピー五十一戦闘機
※通称ピー五十一戦闘機 最新型デハ、ノースアメリカン エフ五十一
ディー 、ビー二十九爆撃機ノ護衛戦闘機トシテ日本ニ飛来シタ
ノースアメリカン エフ五十一・ムスタング戦闘機 乗員一 発動機
液冷式ブイ型十二気筒千六百馬力 全幅十一、二八メートル 全長
九、七五メートル全備重量四、五八五トン最大速度時速六百八十キロ
メートル 実用上昇限度一万二千百六十メートル 最大航続距離
四千二百キロメートル 武装十二、七ミリ機関銃六挺
※雷電戦闘機 乗員一 三菱火星二三空冷複式十四気筒千六百馬力
全幅十、七七五メートル全長九、七メートル 全備重量三、四三五トン
最大速度時速五百九十六キロメートル 実用上昇限度一万一千三百二十
メートル 航続距離千三百六十キロメートル武装二十ミリ機関砲四門
六十キログラム爆弾二 生産機数五百九十四機
※零戦・零式五二型艦上戦闘機中島栄二一空冷複式星型十四気筒千百
馬力全幅十一メートル全長九、〇八七メートル全備重量二、六八六トン
最大速度時速五百五十九キロメートル 実用上昇限度一万一千五十
メートル 航続距離千七百四十六キロメートル武装二十ミリ機関砲二
十三ミリ機関銃三 生産機数各型共一万四十九機
『機ヲ引キ上ゲテ見ルト四機ガ燃エナガラ落チテユク』 ☆ ☆ ☆
撃墜王 赤松貞明ノ戦闘・・ 撃墜数ノ自己申告ハ支那事変ノモンハン
事件ノソ連軍機ヲ含メ、太平洋戦争中迄ノ合計数ハ 三百五十機デアル
ガ、大東亜戦中ノ米、英、豪、蘭（オランダ）軍機ノ撃墜数ハ三十機デ
アル。第三〇二海軍航空隊配属後ノ 一九四五年（昭和二〇年）
二月十七日、厚木基地上空ヲ局地戦闘機 雷電デテスト飛行中、突如
飛来シテキタエフ六エフ戦闘機四機ト交戦シ、コノスベテヲ撃墜。マタ
同年五月二十九日ニハ横浜市街上空デ ピー・五十一戦闘機七十五機ニ
単機戦闘ヲ挑ミ、アメリカ陸軍撃墜王ルーファス・ムーア氏ヲ見事
撃墜シタ。 零戦・零式五ニ型艦上戦闘機乗員一 発動機千百馬力
最大速度時速五百五十九キロメートル武装二十ミリ機関砲二、十三ミリ
機関銃三 機ヲ引キ上ゲテ見ルト敵四機ガ燃エナガラ落チテユク・・
トル武装二十ミリ機関砲二、 十三ミリ機関銃三 機ヲ引キ上ゲテ
見ルト敵四機ガ燃エナガラ落チテユク・・台湾カラノ比島攻撃ニハ零戦
デハ航続距離ニ幾分ノ不安ガアッタノデスガ、巡航時ニオケル燃料
消費量ヲ節約シテ航続距離ヲノバス訓練ヲ続ケ、トウトウ初メノ予定
ノ母艦カラ発艦シテ比島ヲ空襲後、台湾ヘ帰ルトイウ計画ヲ、母艦ヲ
使用セズニ高雄（台湾）カラ比島空襲ガ可能ナヨウニナリマシタ。
ソシテ開戦ト同時ノ比島空襲ニ私モ参加シマシタ。コレガ零戦ニヨル
私ノ初陣デシタ。比島ノ空襲ハ全ク「アッケナク」終ワリマシタ。
第一回ノ十二月八日ノ午後ノ攻撃デ敵機ノホトンドヲ地上デ炎上サセ
マシタノデ、ソノ後ノ攻撃ハ全ク楽ナモノデ、アノトキナドハ
フィリッピン米空軍基地「クラークフィールド」ニ攻撃シテイクト
ピー・四十ガ三機バカリイマシタガ、見方ハ五十機近クノ零戦デスシ、
「アッ」トイウ間ニ撃墜シテシマウ有様デシタ。ソレカラ私ノイタ三空
ハ、太平洋ノ正面戦線ニ向カワズニ、フィリッピンカラ蘭印ヲ通ッテ
「ニューギニア」ノ「ポートモレスビー」ノ攻撃マデ、濠州「ゴウシュ
ウ・オーストラリア」ノ近クマデ進ミ、ソレカラ「ビルマ」ニ廻リ、
更ニ印度洋作戦ト、大東亜戦ノ裏街道ヲ戦ッテ歩キマシタ。ソレデ
フィリッピンノ ピー・四十ト交戦シタ以外ハ濠州（ゴウシュウ・
オーストラリア）ノポートダーウイン空襲マデハ殆ド米国機ト・・
オーストラリア）ノポートダーウイン空襲マデハ殆ド米国機トマジエル
機会ガナク大テイ英国機ガ相手デシタ。終戦ノ前、内地ニ帰ツテ初メテ
グラマント戦ッタヨウナワケデス。コンナ風デ私タチハ強敵ニ遭遇スル
コトナク「グングン」南ニ進出シテイキマシタガ、濠州・オーストラリ
アノ ポートダーウインデ、初メテ抵抗ラシイ抵抗ニ会ッタノデシタ。
ソノトキハ、小スンダ列島ノ一番東、チモール島カラ洋上四百八十浬カ
イリ（八百八十八ロメートル）ヲ進攻シタ。途中ニ 一ツノ島モナイ
海原ツヅキ、見方ハ三十八機ダッタト思イマス。ソノトキノ敵ハ、英国
カラ濠州・オーストラリア防衛ニ送ッタ優秀ナパイロットダッタラシイ
ノデス。濠州・オーストラリアノ ポートダーウィン上空デ敵機ハ
五十機以上ガ上ガッテ待ッテイタ。敵味方相方同ジクライノ高サデ同時
ニオタガイヲ発見シマシタ。ワレワレハ最初ニ左ニ廻ッタ。ソノトキ、
先頭ニイタ指揮官機ガソノママ巴戦ニ入ッタノヲ見テ私ハ九機ヲ連レ
テ高度ヲ引キ上ゲマシタ。ソシテ巴戦ニ入ッテイル敵機ノ上方カラ追ッ
テ「バラバラ」ト撃ッテソノママ追攻ニハイッタ。一回射撃シテ機ヲ引
キ上ゲテ見ルト、四機ガ燃エナガラ落チテユク。『零戦ジャナイカナ』
ト思ッテ見テイルト、落下傘ガ二ツ、三ツ降リルノガ認メラレマシタ。
ルト、落下傘ガ二ツ、三ツ降リルノガ認メラレマシタ。ソレデ『敵機ダ
ナ』ト思ッタ。帰リノ燃料ノ関係デ二十分クライシカ空戦ハデキナ
カッタ。私ハソノトキ三機ヲ撃墜シタ。集合地点ニ集マッテ見タラ、
「驚イタ」コトニ零戦ハ全機無事デアッタ。一機モヤラレテハイナ
カッタ。ソノ時ハ、敵機ノ三分ノ一グライヲ墜シタノデシタ。ヤハリ
英国ノ優秀機モ零戦ノ敵デハナカッタ。アメリカ軍ハスデニ零戦ノ強サ
ヲ警戒シテイテ、一機対一機ノ時ハ必ズ逃ゲルコトニシテイタガ、英国
本土カラ送ラレタ『優秀ヲモッテ認ズル』パイロットタチハ『日本
何者ゾ』ト 気負イ立ッテイテ零戦ノ強サ、ヲ知ラズ編隊空中戦モ何モ
ナク、イキナリ一機対一機ノ巴戦ニ入ッタカラタマラナカッタ。ソノ後
ハ 濠州・ゴウシュウ・オーストラリアノ ポートダーウインカラハ
英国カラ来タ 太イ胴体ヲ持ツ ハリケーン ト スピットファイアガ
出テクルヨウニナッテ段々手強クナリ、味方ニモ相当犠牲ガ出ルヨウ
ニナッタノデスガ、シカシソレラノ英国機ヨリ零戦ノ方ガ実戦性能ガ優
レテイタノデマダ楽ダッタノデス。緒戦（ショセン・戦争ノ始メ
ノコロ）ヲ経テ、米国機ト激戦ヲ繰リ返スヨウニナッテカラ、米国機ハ
防火装置ガシテアッテ『射ッテモ射ッテモ』ナカナカ火ガツカナカッ
タガ、ソノ頃ハ、マダ英国系ノ飛行機ハ防火装置ヲシテハナカッタノ
デガ弾当タレバスグ火ガツイタノデス。インドノ カルカッタヲ攻撃・
当タレバスグ火ガツイタノデス。インドノカルカッタヲ攻撃シタトキデ
アッタ。八千メートルクライノ高度デトンデイルト、向コウカラ敵機ノ
編隊ガ二機ヅツ百メートルクライノ間隔デヤッテクルノニ出会ッタ。
私ハ敵機ノ前方ノ下カラ腹ヲメガケテ撃チ上ゲテイツタ。前下方カラヤ
レバタイテイ一撃デアル。敵ノ一番弱イトコロカラ弾ヲ「ブチコム」
ノデアルカラ弾ハ貫通シテ敵機ハ『パッ』ト火ノ玉トナル。敵機ハ
下カラ射チ上ゲラレタノデ頭ヲ突ッ込ンダ。私ハ前下方ヨリ撃チアゲ
タ後引キ上ゲテ上ニ出ルト列機ハコノママ敵機ノ後ロニ廻ル。敵ハ頭ヲ
突ッコンデスレ違ッテカラ機首上ゲコチラニ向カオウトシテクルノデ
スデニ敵ノ上方ニアル私ハ上カラマタ叩イタ。カクシテ私ハ四機ヲ、
列機ガ二機ヅツマタタク間ニ撃墜シタ。アメリカノ グラマンモ最初
エフ四エフ時代ニハ零戦ニクワレテイタノデス。緒戦デノ頃ハ
ラバウル ノ搭乗員ガ、『ワガ機ハ天下無敵ノ零戦ナリ』ト言ッテ
「勇ミニ勇ンデ」飛ビ立ッタ。ソシテ実際、『ボロボロ』敵 グラマン
ヲ墜シタノデス。ダガ グラマン エフ六エフニ改良サレテカラ、ワガ
零戦ノ優秀サヲモッテシテモ、残念ナガラ及バナクナッタノデス。
私ガ終戦近クナッテ関東地方上空デ闘ッタ グラマンハコノ
エフ六エフデアッテ、敵ハ数ノオイテ圧倒的ニ優勢ノセイデモアッタガ
私ハ常ニ苦戦ニ陥ッタノデアリマシタ。・・・
タノデアリマシタ。アメリカニハ戦イナガラソノ経験ヲ生カシ、飛行機
ニ改良ニ改良ヲ加エル底力ガアッタ。日本ニモ グラマン エフ六エフ
ヨリモ優秀ナ飛行機ハデキテイタガ、数ガ少ナク ワレワレニマデ
廻ッテ来ナカッタ。松山航空隊ガモッテイタ紫電ガソレデアッタノデス
ラバウル時代ノ搭乗員ハ零戦ヲモッテ天下無敵ヲ誇ッタガ、終戦近イ
頃ノ搭乗員ハ数ノ上デ圧倒サレテイタセイモアリマシタガ、零戦デノ
グラマンニ対スル自信ヲ失ッテ紫電ニ乗リタガッテイタノデシタ。
＊＊戦闘機乗リ気質（カタギ）＊＊ ソウイウ連中ハ戦争ニハ強イガ
アマリ行儀ハヨクナイ。・・・『飛行時数三千時』・・・私ガ
南京（ナンキン）カラ漢口（ハンカオ）飛行場ヲ攻撃シタ時、私ノ飛行
時数ハスデニ 三千時間ヲ突破シテイタト思イマス。然ルニ戦争モ苦シ
イ時代ニナッテクルト、相当ムヅカシイ戦場デ僅カ三百時間カ四百時間
ノ若イ人タチガ戦ッタノデアリマシタ。ソノ心中ハ察セラレテ、悲壮デ
アリマシタガ思モウヨウナ戦果ガ上ル筈モアリマセンデシタ。飛行時数
トイウノハ搭乗員ガ訓練ソノ他、飛行機ニ乗ッタ時間ヲ正確ニハカッテ
毎日航空記録ニツケテアリ、ソノ時間ノ総計ヲソノ人ノ飛行時数ト
イイマス。即チ飛行機乗リノ練度ノ 一ツノ目安ニナルモノデスガ、
コレハ機種ニヨッテダイブ異ナリ戦闘機乗リハ大タイ一回ノ訓練ガ
三十分ホドデアルノニ、大型機ハ四時間モ五時間モ乗リマスノデ・・
四時間モ五時間モ乗リマスノデ大型機搭乗員ノ方ガ一般ニ飛行時間数ガ
多ク、大タイ戦闘機ノ飛行時数ハ大型機ノ三倍クライノ価値ガアルト
言エマショウ。私タチガ 濠州（ゴウシュウ・オーストラリア）ポート
ダーウインヲ叩クタメニ、台湾カラ出撃シタ部隊ハ、ソレコソ飛行
時数三千時間以上ノ優秀ナ搭乗員バカリデアリマシタ。千時間ヤ二千
時間トイウヨウナ搭乗員ハ一人モイマセン。ソレモ揃イモ揃ッテ支那
事変カラ実戦デ鍛エ上ゲタ強イ連中バカリデシタ。ダカラドコニ出撃
シテモ決シテ負ケマセン。敵ガ絶対多数ナラトモ角、対等ノ数ダッタラ
負ケルヨウナコトハアリマセンデシタ。ソノ ポートダーウインノ戦イ
デ、太平洋戦争ハ一段落ツイタトイッテモヨイヨウナモノデシタ。
ソコデ各前線基地ノ搭乗員ノ入レ換エガアッタ。戦イノ進展ニツレテ、
南方ヘ南方ヘト下ガッテイッタ私タチ古強者タチハ、全部ソノ交代ノ
トキニハ バラバラ各地ニ散ラバッテイッタノデシタ。
私ハ ポートダーウインノ作戦ガ終ワッテ、ヒト先ズ内地ニ引キ上ゲテ
来マシタ。ソシテ ガダルカナルデ陸海軍ノ苦闘ガツヅイテイタコロ、
私ハ ジャバ ニ（ ジャワ島 インドネシアノ中心ノ島。首都
ジャカルタガ存在スル）転出ヲ命ゼラレマシタ。ソレカラ インド洋
方面ノ作戦ニ従事、カルカッタヤ セイロン島（スリランカ）ノ攻撃ヲ
ヤッテイテ、ソノウチニ ビー二十九ガ内地ニヤッテ来ルトイウノデ、
ウチニ ビー二十九ガ内地ニヤッテ来ルトイウノデ、遠ク インド洋
カラ内地ニ帰ッタワケデス。⇒
※ボーイング ビー二十九『スーパーフォートレス』爆撃機生産機数
四千機以上 乗員十〜十一名発動機ライト「サイクロン十八」アール
三三五〇空冷複列星型十八気筒二千二百馬力エンジン四基全幅
四十三、一〇メートル全長三十、二〇メートル全備重量五十四、四トン
最大速度時速五百五十キロメートル実用上昇限度一万二百五十メートル
航続距離五千二百三十キロメートル武装爆弾七、二五トン最大九トン
十二、七ミリ機関銃十二挺 ⇒「手荒イ連中」鹿児島県ノ鹿屋デ編成
サレタ第三航空隊・通称三空ハ、亀井サンガ司令デ編成シタノデスガ
アノ隊ハ実ニ凄イモノデシタ。亀井サンハ、全海軍ノ戦闘機乗リノ中デ
ドイツト ドイツガ強イカ トイウコトヲヨク知ッテイルノデス。ソノ
時 亀井サンノトコロニ集マッタ准士官以上ハ、ミンナ 一癖モ二癖
モアル連中バカリデシタ。下士官兵デモ先任クラスハ、ミンナ荒ッ
ポイ連中バカリデシタ。ヨクモ コウ見事ニ集メタト、オ互イニ感心
スルホドデシタ。ソウイウ連中ハ戦争ニハ強イガアマリ行儀ハ
ヨクナイ。殴リ合イモヤリ兼ネナイヨウナ者バカリ。下士官兵カラ
ワレワレ特務士官マデアタリノ戦闘機乗リハ、空ノ与太者トイッテハ
少シ差シ障リモアリマショウガ少ナカラズソウイウ気風ガアッタコト
モ否定デキマセン。ヤクザトイウ言葉モ平気デ使ッテオリマシタ。
モ否定デキマセン。ヤクザトイウ言葉モ平気デ使ッテオリマシタ。空ノ
ノヤクザヲ自称シテイタノデス。何デモナイコトデ喧嘩スルワケデ
ハナイガ、コンナコトモナイデハナカッタ。私モ柔道六段、角力・ス
モウモ無敵デ、腕力ニハ イササカノ自信ガアッタ。但シ私ハ喧嘩
ハ嫌イデシタ。 ＊私ノ生キ残ッタワケ＊敵ニツカレテ射タレテイルト
キニ、「ヒネリコミ」ヲヤルニハ⇒⇒
※ヒネリコミ――ワガ空中戦法・ヒラリ身ヲカワスノデスガ、ヤッテイ
ル者ニトッテハ大変ナコトデス――・・全ク無理ナ操縦法 私ガ戦ッ
テキタ支那事変及ビ大東亜戦争ニオケル空中戦デ最モ代表的ナ単機空中
戦ノ操縦術ガ「ヒネリコミ」ト称スルモノデシタ。戦闘機同志ガ空中戦
ヲヤルトイウトキハ、敵ノ後ニツイタ方ガ勝チデス。戦闘機ニハ前方ニ
固定シタ機銃ガアルダケデスカラ、敵ニ後ニツカレテハ自分ハ射撃ス
ルコトガデキズ、敵ノ弾ハトンデクルトイウワケデス。ソコデ二機ノ
飛行機ハオ互イ 相手ノ後ニツコウトシテ競争スルワケデス。ソコデ
旋回運動ヲハジメル。「グルグル」ト廻リナガラ追ッカケッコスル。
ソコデ旋回半径ノ小サナ飛行機ガ「ダンダン」敵ノ後方ヘト廻リコンデ
空中戦ニ勝ツトイウコトニナリマス。各種ノ飛行機ノ旋回半径トイウノ
ハ 勿論大タイキマッテイマス。速力ノオソイ翼面荷重ノ小サナ飛行機
ホド旋回半径ガ小サイワケデスガ、マタ、操縦法如何ニヨッテモ小サ・
垂直尾翼ニアル飛行機ノ操縦ニ用イル可動翼ノ 一ツ ラダー ガ欠損
シタ場合 飛行機ノ左右ノ首振リ運動ノ ヨーイング（左右ノ首振リノ
コントロール）ガ始末ニ負エナクナル。コノ場合ニハ落下傘デ飛ビ降リ
ルシカナイ。（例日航機百二十三便）
イマ 一ツ飛行機ニハ エルロン トイウ方向舵ガアル。飛行機ノ左
右主翼ノ外側ニ取リ付ケラレ横転・回転運動ヲコントロールスル。
コレガ欠損シタ場合飛行機ハ物凄イ速サデ キリモミニ入ルカラ、
キリモミニ入ル寸前ニ落下傘デ飛ビ降リルシカナイ。
⇒⇒即チ舵ヲ引キスギ速力ヲ落トシスギテ自転ニ入ラヌ限リハ操縦桿ヲ
一杯操作スル方ガ飛行機ハ小サク旋回スルワケデス。・・・
マタ、操縦法如何ニヨッテモ小サクモナリ大キクモナリマス。旋回スル
ニハ水平面デ旋回スル垂直旋回ト垂直面ヲ旋回スル宙返リ、ソノ中間、
即チ垂直ヨリ水平マデノアラユル角度ノ旋回方法ガアルワケデスガ、
普通ノ旋回デ最小ノ半径デ旋回スルタメニハ、飛行機ヲ
『スベラサズ』ニ舵ノキクマデ 一パイニ操縦桿ヲ引ッパレバ
ヨイワケデス。⇒⇒即チ舵ヲ引キスギ速力ヲオトシスギテ自転ニハイラ
ヌ限リハ操縦桿ヲ一杯操作スル方ガ飛行機ハ小サク旋回スルワケデス。
コノ旋回半径ヲ モット小サクスル方法ハナイカト考エテ ヤッテイル
ウチニ考エ出シタノガ『ヒネリコミ』 デス。全ク無理ナ操縦法ナノ
デス。普通ノ旋回デ『スベラセ』テヤレバ旋回デモ宙返リデモ必ズ旋回
半径ガ大キクナルモノデスガ、コノ『ヒネリコミ』デハ猛烈ニ飛行機ヲ
『スベラセル』コトニヨッテ、旋回半径ヲ小サクスルノデス。・・・
虐待死刑スタッフ以外ニグループマイナス経常ケタチガイ災熱湯薬害毒死多看後死
異常介護保険税金ムダ泥棒マダ殺ッテマスオツムオムツ借金漬ケ棺桶型国家
森友ノロウイルス焼肉嘔吐虐待スイッチ押死耶手ゲローン戦争ソンポ部死テルン盗難
郡大老害モヤシテ違反重々ヤットア麻薬王振戦ストレス足ダシ爆発公害山口炉ウドモヤンキーノ種死ネ世
https://potato.5ch.net/test/read.cgi/welfare/1450587285
大キクナルモノデスガ、コノ『ヒネリコミ』デハ猛烈ニ飛行機ヲ『スベ
ラセル』コトニヨッテ、旋回半径ヲ小サクスルノデス。簡単ニ言エバ
後方カラ敵ニカカッテ来ラレタトシマス。先ズ機首ヲ斜メニ引キ上ゲ
マス。即チ斜メ宙返リヲハジメルワケデスガ、ソノ 引キ上ゲタ途中デ
横転ヲヤリマス。タダ横転ヲヤッタノデハ宙返リ反転ニナッテシマイ
マスガ、マア 横転ヲハンブンヤルト云ッテオケバヨイカモシレマセン
ソシテ 斜メ宙返リデ機首ヲ上ゲ、背面気味ニナッタ飛行機ガ
一方ノ翼ヲ操縦デ上方ヘツキ上ゲラレテ地面ニ垂直気味ニナリマス。
後カラ追ッカケテキタ敵機モ 後カラ斜メ宙返リデ追ッテイルワケデス
ソノ敵機ヲ見ナガラ頭ヲ上ゲテ、失速近クナッタ飛行機ヲ、方向舵ヲ
一杯ツカッテ飛行機ヲ『スベラセ』 ナガラモ敵機ノ方向ヘ機首ヲ
向ケルワケデス。ソレデ、同ジ性能ノ飛行機ガ モシコレヲ追ッカケ
テ来テモ、コノ飛行機ガ真ッ直グ宙返リスルモノトスレバ、時間モカカ
ルシ、モトノ方向ヲ向クマデニ、前方ノ機ニ後方ニ回ラレテシマウ
ワケデス。コレハ垂直旋回ノ途中デモ同ジヨウニ出来マス。ウマクヤレ
バ 一ペンデ後ニツイタ敵機ヲ「ノメラシテ」反対ニコチラガ後ニ
ツクコトガ出来ルノデス。・・・
後ニツクコトガ出来ルノデス。ソレニ後方カラ「バラバラ」ト射タレタ
トキニコノヨウニ「グルグル」ト『ヒネル』ト、後方ニ「ピタリ」ト
ツイテ同ジヨウナ運動ヲシヨウト思ッテイテモ、同ジヨウナ運動ガデキ
ナクテ、ドコヘ行ッタカ見失ッテシマウノデス。ナオ『ヒネリコミ』ノ
感ジヲ卑俗ニ言エバ後カラ追イカケテクル敵機ニ『肩スカシ』ヲ食ワ
セテ前ニ「ツンノメラセ」テ コチラガ後ニマワルトイウコトデアル。
ソシテ『ヒネル』トイウトコロニ感ジガデテイル。斜メ宙返リノ途中
デ「ヒラリ」ト身ヲカワストイウ感ジデアルコノトキ敵機ハコチラヲ
見失ッテ真ッ当ナ宙返リヲシテイル間ニ、コチラハ ソノ後ニツク。
コレヲ敵ハ実行デキナカッタノデ グラマンエフ六エフヤ
ピー 五十一ヲ撃墜デキタノデス。『ポン』ト『ヒネル』トカ、『ヒ
ラリ』ト身ヲカワスナドトイウト、イカニモ軽ク『ヒネレル』ヨウニ思
ワレルガ、『ヒネル』ニハ非常ニ腕力ヲ必要トスルノデス。私ガ、
タダ一度ダケ失敗シテ落下傘降下ヲスル原因ニナッタノハ、
「エルロン」ノ操縦索ヲ切ッタコトダ（補助翼・横転 ロールサセル
ノニ使ウ動翼 零戦ノ操縦桿ニツイテイル）『ヒネリコミ』ハ零戦ノ
操縦索ヲ切ッテシマウホドノ 力 ガ必要ナノデス。・・
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