「ダウンウォッシュが無くても揚力が発生する」、って間違いが後を絶たないので
マジで調べてみた。原因は「完全流体中の円柱周りの等角写像の見かた」だな。

まずは、流速U=0.5m/s、循環Γ=0のときの円柱周りの流線。
http://fnorio.com/0116two_dimensional_wing_theory0/fig6-4-1-05.GIF
水平方向が±4の位置でほぼ一様流になっている。ダウンウォッシュが無いので揚力=0。

次に、循環Γ=4πaUのとき。a=1は円柱の半径。U=5m/s。揚力が発生する。
http://fnorio.com/0116two_dimensional_wing_theory0/fig6-4-2-05.GIF
水平方向x=-4でアップウォッシュ、x=4でダウンウォッシュになっている。
このアップウォッシュがクセ者で、Γの導入により、水平な一様流になるのは無限遠になる。
図の下に出ているΨ(x,y)=Uとなる流線で計算すると、角度はx=-10で5°、x=-20で2.5°。
要するに、有限の距離から円柱に流入する一様流はアップウォッシュになっている。
一様流を水平流にするためには、全体を時計方向に回転させる必要がある。
つまり、揚力が発生するとき、流出する流線はダウンウォッシュになる。
ジューコフスキー変換で平板に写像したときも、迎角によらず同様の流線になる。

循環Γがあると水平な一様流になるの無限遠、というのを見落としているから
「ダウンウォッシュが無くても揚力が発生する」と間違えることがわかった。