対米従属への不満から改憲や自衛隊増強、あるいは歴史問題などに
  代償行為を求めれば求めるほど、アジア諸国から反発を買い、欧米の世論を刺激
  し、アメリカ政府への従属をいっそう深めるという悪循環が発生する。この悪循
  環を打破するには、アメリカ政府への従属状態から逃れてもアジアで独自行動が
  可能であるように、アジア諸地域との信頼関係を醸成してゆくしかない。その場
  合、第九条と対アジア戦後補償は、信頼醸成の有力な方法となるだろう。
          (小熊英二氏著氏著『<民主>と<愛国>』