流れぶった切って悪いけど、八月十五日も過ぎたので
季節ネタ。「量子」という言葉につられたけど、
ぜんぜん別のジャンルなのは知ってるけど赦してくれい。

敗戦後で東工大の授業がなかったころに、
遠山啓先生が自主講座を開いて、ノイマンの
『量子力学の数学的基礎』の講義をやったんだそうだ。
そしたら、その講義の内容に感動した学生が、
「数学者になりたい」っつって、遠山さんのところに
押しかけてきたんだそうだ。
「キミ、専門は何か」「農芸化学です」「数学は食えないから、
ダメだ。素直に農芸化学やっとけ」っつって、教務課長と遠山さんで
説得して追い返したら、そいつはけっきょく詩人になったので、
教務課長と遠山さんが「ますます食えない」っつーんで頭を抱えたそうだ。
その学生が、吉本隆明だったという。