川勝知事は「コンクリートから人へ」というスローガンを掲げていた民主党(当時)から支援を受けていたこともあり、
就任当初は「ハコモノをゼロベースで見直す」と怪気炎を上げていた。だが、就任後の10年間を振り返ると、
富士山世界遺産センター、静岡空港ターミナルビル、茶の都ミュージアム、日本平夢テラスなど、
見直しどころかむしろ「ハコモノ」を積極的に整備してきたと報じられている。
冒頭で触れた「嘘(うそ)つきブーメラン事案」は、東静岡駅前に整備予定のハコモノに反対する
県議会議員らに対して「ヤクザ、ゴロツキ」などと発言したものだ。
リニアについても、前回の連載「静岡県知事の「リニア妨害」 県内からも不満噴出の衝撃【後編」
で指摘した通り、これまでの知事の言動を検証すると、「水と環境」を取引材料にして、
「代償措置」として、JR東海に東海道新幹線の富士山静岡空港新駅を造らせようとする“本音”が垣間見える。
新幹線の駅は分かりやすい「ハコモノ」だ。今回のリニア中央新幹線に川勝知事が「待った」をかけた騒動は、
知事の「ハコモノ」に対する異常な執着心が世の中を掻き乱す言動の背景にある、と言っては言い過ぎだろうか。