今週の金曜日に日テレで「頭脳王」が放送される。
他のクイズ番組に比べて、けた違いに広い教養や深い思考力を要する。
そういう意味では、本選に出場できただけでも尊敬に値する。
ただ、物理に関する問題では実際はただの機械的な計算問題に過ぎないものを超難問に見せかけていることがよくある。
番組表から情報表示したら。「ブラックホールの直径を求めよ!」というのがあった。
放送を見てもいないのに言うのも何だが、なあんちゃって超難問のインチキ臭がしてならないんだが。

アインシュタイン方程式を解いてブラックホールの半径を求められるのなら、なかなか教養があるといえる。
しかし、それはインチキな方法でなら凡庸な高校生でも求めることができる。
>>72でも使った力学的エネルギー保存則を用いて、星からのロケットの脱出臨界速度を求める。
ロケットの速さ、質量をv、mとし、星の半径、質量をr、Mとすれば、
mv^2/2−GmM/r=0からv=√(2 GM/r)
ここで、ブラックホールは光を脱出させないからとして、vを光速cに置き換えるというインチキなことをやれば、
正確な方法で計算したのと同じ結果でブラックホール半径を求めることができる。
c=√(2 GM/r)から、r=2 GM/c^2
(ロケットの脱出→光の脱出という対応が印象的なのでインチキとはいえ忘れにくい。)

「太陽が縮んでブラックホールになったときの直径を求めよ。
ただし、万有引力定数G、太陽質量M、光速cを、G=6.67×10^-11m3 kg-1 s-2、M=1.99 × 10^30 kg、c=3.00× 10^8m / sとする」
といったような出題のされ方だろうな。

ブラックホール半径はインチキな方法を使えばだれでも求められるので、結局は機械的な数値計算を手計算するだけの勝負にすぎない。
なお、電卓使って、計算すれば、r=2950mなので、直径は5900m(5.90km)となる。
もし、太陽ではなく地球なら、M= 5.97 × 10^24 kgとして、
8.85× 10^-3 mなので、直径は1.77× 10^-2 m(1.77cm)となる。