自宅から9人の切断された遺体が見つかり、警視庁に死体遺棄容疑で逮捕された白石隆浩容疑者。父親を気遣い、すれ違えば気さくにあいさつする「ごく普通の青年」−。
多くの隣人らがそうした印象を抱いていた。その一方で、関係者の話からは、女性を標的に危険な仕事を斡旋(あっせん)する“裏の顔”を持っていたことも浮かび上がってきた。

近隣住民らによると、白石容疑者は学生時代、現場となったアパートから2、3キロほど離れた座間市内の実家で父親ら家族と暮らしていたが、
成人してからはほとんど姿を見せることはなかったという。

半年ほど前、実家周辺で白石容疑者と父親が一緒にいるのをみかけたという50代の自営業男性は、
「父親から『息子です』と紹介され、本人も会釈してくれて感じが良かった。設計をしている父親の仕事を手伝いに来ていたようだ」と振り返る。

一方、関係者によると、白石容疑者は一時、風俗店などに女性を派遣する東京都内の職業紹介会社に、アルバイトとして勤務していたという。
東京・歌舞伎町界(かい)隈(わい)で女性のスカウトをしていたとの情報もある。
今年2月、売春に関与したとして職業安定法違反の疑いで茨城県警に逮捕され、
水戸地方裁判所土浦支部で今年6月、懲役1年2カ月、執行猶予3年の判決が確定している。

今年8月下旬、現場のアパートに1人で入居してきたとみられる白石容疑者。
近所に住む主婦(83)は「身なりもきちんとしていて、近所に迷惑をかけることもなく、ごく普通の青年という感じ。
朝、自転車で家を出るところをよく見かけたので、きちんと働いているのだと思った。
こんな事件を起こすようには見えなかった」と、信じられないという様子で話した。